❐北方四島の話題
サハリン・インフォ2019/5/15
●…択捉島を管轄するクリル行政府は、大祖国戦争(対ナチスドイツとの戦争)に参加し、その後択捉島で亡くなった軍人のお墓に、功績を称えてモニュメントを設置しているが、それが今、とんでもないことになっている。クリリスク(紗那)に住むビクトリア・クリルチャンカさんによると、両親の墓にお参りするため紗那墓地に行った時、少女が埋葬されていたはずのお墓に、真新しい記念碑が建てられていた。モニュメントには「グレンコ・ニキトビッチ」さんの氏名と生まれた日、亡くなった日が刻まれていた。ビクトリアさんは、モニュメントを建てるお墓を間違えたのではないか、とピンときた。紗那墓地の古い墓がある区画に行って確認すると、ニキトビッチさんの墓がそこにあり、妻と一緒に埋葬されていた。なぜこんなことが起こるのか? 戦争の英雄の記憶を永続させるという取り組み自体は素晴らしいが、軍人が埋葬されている墓がどこにあるのかを知っている人はほとんどいなかった。にもかかわらず、記念碑を設置するリストが作成され、資金も割り当てられた。2018年5月9日の戦勝記念日に最初の記念碑が設置され、同年9月3日のサハリンとクリル諸島解放の日にまで12のモニュメントが設置された。モニュメントを設置した会社の担当者は「まさか? 行政によって承認されたリストに基づいて作業したのだが。私たちはモニュメントを移し替え、先に埋葬されていた少女名前を確認し、当社の費用で彼女の記念碑も建てるつもりだ」と話している。行政政府は、今年も記念碑の設置を続けると主張し、すでに予算が割り当てられている。
少女のお墓に間違って建てられた記念碑
紗那墓地の別の場所にある軍人のお墓
●…択捉島を管轄するクリル行政府は5月9日の戦勝記念日に合わせて、戦争を体験した高齢者に贈り物をしているが、今年の戦勝記念日の式典では、別のスキャンダルも発生した。行政府では5月9日までに、退役軍人や戦争未亡人、戦争体験者に対して贈り物を贈っている。それはお金だったり、記念品だったりする。今年は軍から提供された食料品が贈られた。コメ、エンドウ豆、コンデンスミルクの缶詰、煮込んだ肉、グラニュー糖だった。島で一番の高齢者で95歳の女性にも贈り物が届いた。受け取った親戚は「これは、施しではないか」と受け止めた。不快な思いをしたのは一人だけではなかった。行政府では贈り物の対象者すべてに平等に配布されるように食料品を分けて届けた結果だったようだ。配られた輸入品の品質と見てくれもいまいちだった。
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