南クリル(色丹・国後・択捉) ロシア最大の水産加工拠点として復活を目指す

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北方四島の話題

 サハリン・インフォ2019/10/24

●…色丹島のクラボザボツコエ(アナマ)で9月から稼働を始めたギドロストロイの新しい水産加工場–。このほど、島の住民や従業員、工場開設に尽力した関係者に感謝を込めたセレモニーが行われた。 

人々とアイディアと技術の融合から生まれた

●…ギドロストロイの創業者ヴェルホフスキーは「新工場の建設は2年前から始まった。12人のスペシャリストが世界で最も優れた工場を視察した。その中でアイスランドを訪れた。3~4つの工場を視察して、高い技術を持ち、お同じように島に暮らし、仕事を愛する者としてお互いを理解し合うことが出来た」と語った。「この工場は人々とアイディアと技術の融合から生まれた。プロジェクト参加者はその難しさを知っていた。眠れない夜が1年半続いた。私たち全員がこのような作品を作り上げたことを誇りに思う」と胸を張った。

●…現役の従業員だけでなく退職者も、そしてプロジェクトに参加した外国人たちもクラボザボツコエの文化の家に集まった。アイスランドからは複数の企業からなる代表団が来島した。設備機器の主要サプライヤーとなった「スカギン(Skaginn)」のアルナルソンCEOは「新工場の建設は我々にとってロシアだけでなく太平洋地域で初めてのプロジェクトだ。高度に自動化されたユニークな工場は、漁場に近い。それは製品の品質が優れていることを意味する。将来的にこの地域で他のプロジェクトが実施されることを期待している」と述べた。

投資額は65億ルーブル、従業員は500人、1日1,000トン処理

●…工場の建設と設備機器への投資額は65億ルーブルに達した。従業員は500人で、同社はその主力は色丹島住民が担うことを約束している。ギドロストロイのスヴェトリコフCEOは「20年前に我々が色丹島に進出して加工場を再建した時、世界最先端の近代的な工場ができるとは想像もしていなかった」と振り返った。

●…同工場は1日に1,000トンの魚を処理できる国内最大の工場といわれている。原料はクリル諸島海域で獲れるスケソウダラ、サバ、イワシなど。ギドロストロイの予測によると、全ロシアの年間漁獲量が400万トンに対して、南クリル諸島海域では200万トンを見込む。この四半世紀全く獲れなかったサバやイワシ色丹島国後島択捉島の近海に戻ってきた。

従業員宿舎やゲストハウス、発電所

●…工場の敷地面積は10,000㎡あり、その中に発電施設や従業員用宿舎、ゲストハウス、診療施設を備えている。工場に隣接して貯蔵施設があり、そして桟橋へと続く。7隻の漁船からなる船団が原材料を確保するため昼夜操業している。港に着くと船倉からスケソウダラやサバ、イワシがベルトコンベアに載って直接工場の中へ運ばれる。高度で複雑な機械の中をくぐって魚は種類別、サイズ別に分けられ、急速冷凍される。そして桟橋に着けた貨物船からロシア極東、海外の港へと運ばれる。新工場は廃棄物を出さない施設として、将来的に廃棄物を利用した魚粉工場を建設する。

ソ連崩壊、大地震…90年代、色丹島は貧困と闇に落ちた

●…色丹島の漁業の発展は資源調査でサンマの魚群が発見された1960年代に始まる。あっという間に島は漁業生産の中心地の1つになり、6つの工場が集積した。缶詰と魚はソ連全土と外国へ供給された。色丹島には全国から労働者が集まり、にぎわった。90年代に悲劇(ソ連崩壊と巨大地震)が襲う。漁業生産と生活の全てに大打撃を与え、島は貧困と闇に落ちた。数年間で5,000人が島去った。ほとんどが若い人たちだった。 

ロシア国内最大の水産加工拠点として復活へ

●…2000年代に入って2つの水産加工場が再建され、島に新たな生命を吹き込んだが、まだかつての栄光と繁栄を取り戻したとは言えない。そして今、色丹島に近代工場が立ち上げられ、国後島にも水産加工場が構築される。住民や行政当局は20世紀後半の南クリル地区が漁業の一大生産地だったように、国内最大の水産加工エリアとして復活するこを期待している。

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