農業には厳しい環境にある択捉島だが、過去数年の経験から野菜生産が拡大している。今年はオホーツク海側のサラトフカ川(内保川)周辺にある5ヘクタール以上の畑にジャガイモ、ニンジン、キャベツ、ビートが植えられ、キャベツが収穫の時を待っている。一方、漁業水産業だけでなく択捉島の農業開発を進めるコンチネント社はの温室ではトマト、キュウリ、ハーブの一種ディルが収穫されている。エパティなど3種類のトマトは味だけでなく、食卓を飾る一種の農業芸術作品だ。温室キュウリは伝統的なアーティストやアムールに加えて、今年はアルザマスという品種を作り上げた。滑らかな表面と香りが特徴だ。今シーズン、同社の温室複合施設にはトマトとキュウリの苗約2000株が植えられた。また、コンチネント社は今年、温室を1500㎡以上に拡大した。施設は電力供給量を増やすことによって近代化されている。より育成期間が長い作物を栽培するため農業貿易省の専門家は、再生可能エネルギーのソーラーパネルや風力発電の導入も進めている。コンチネント社は近代的な食品貯蔵施設を建設し品質の維持にも努めている。収穫された野菜の一部は島内の学校や幼稚園に寄贈されているほか、クリル地区中央病院や住民にも提供されている。同社ではロシア地理学会と連携してシーバックソーンの育成に関する実験に取り組んでおり、サハリン州政府は択捉島で育てられる野菜の開発を高く評価している。(サハリン・クリル通信2020/8/7)
コメント