【根室】北方領土周辺をチャーター機で飛び、元島民らが上空から慰霊する事業が25日、中標津空港(根室管内中標津町)発着で3回行われ、2日間の全日程を終了した。新型コロナウイルスの影響で本年度のビザなし渡航が全て中止される中、初回の21日と合わせて計125人が機上から故郷の島々に手を合わせた。(北海道新聞電子版2020/10/25)
この日は子、孫と一緒の元島民や根室管内の市町長ら71人が搭乗し、日ロ中間ラインの北海道本島側上空を約1時間かけて飛行。参加者によると国後島は雲がかかっていたが、歯舞群島や色丹島は見えたという。
歯舞群島多楽島古別生まれで、娘と参加した網谷博さん(87)=稚内市=は同島で病気で亡くなり、きょうだいで火葬した母の写真を持参。「古別が見えた時には母に『帰って来たぞ』と声をかけた」と語った。
上空慰霊は道と千島歯舞諸島居住者連盟が初めて実施。道は今回限りの事業との見通しを示している。(武藤里美、今井裕紀)
上空慰霊を終え、最終便から降り立つ元島民や家族ら=25日午後4時5分、中標津空港(加藤哲朗撮影)
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