根室新聞3月末で休刊 株主総会で正式決定 市民から惜しむ声

 根室新聞社(岡野忠春社長)が発行する夕刊紙「根室新聞」が、創刊から74年の歴史に幕を下ろすことになった。10日の臨時株主総会で、3月末に休刊し、4月末で会社を解散することを全会一致で決めた。市民や関係者からは、事実上の廃刊を惜しむ声が聞かれる。(北海道新聞根室版2021/3/10電子版)

 岡野社長は株主総会後、報道陣の取材に「経営的にはまだなんとかなるが、白い紙面を出すわけにはいかない」と述べ、人手不足で記者の補充が困難なことを休刊の最大の理由に挙げた。その上で、3月末までは紙面を通じて「74年の感謝を皆さんに伝えていきたい」と強調した。

 根室新聞は1947年1月に創刊し、根室市政や地域の話題、北方領土問題に関する記事などを掲載している。従業員は記者3人を含む11人。

 同社が97年に発行した「根新で見る根室五十年史」によると、同紙は印刷会社経営者らが創刊したが、新聞用紙の入手が難しく、赤字経営が続いた。その後「根室新聞を廃刊させてはならないと有力者が集い、昭和40年代に個人経営から法人会社に」なったと記す。

 根室市には、2月末に休刊を伝える報道があってから、地域の話題をきめ細かく掲載してきた同紙の休刊を惜しむ声が寄せられているという。

 千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)根室支部長の宮谷内(みやうち)亮一さん(78)は「北方領土返還運動原点の地の新聞として、領土問題の啓発に力を入れてくれた。時代の流れなのだろうが、残念だ」と語った。

 大戦末期の根室空襲の記録の掘り起こしは、市民でつくる根室空襲研究会が担い、根室新聞記者もメンバーに加わっている。同研究会事務局長の近藤敬幸さん(90)は「まだやり残した事業があり、根室新聞に力を貸してほしかった」と話している。(黒田理)

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