【羅臼】北方領土国後島周辺海域で行われた今季の安全操業のスケソウ刺し網漁で、ロシア国境警備局が日本漁船に乗り込んで操業日誌の点検などを行う「臨検」を延べ91隻に実施したことが、羅臼漁協(根室管内羅臼町)などの調べで分かった。スケソウ刺し網漁では昨年の延べ87隻を上回り、同漁が始まった1999年以降最多。ロシアのトロール船によるとみられる漁具被害も5件確認された。(北海道新聞根室版2021/3/18 )
羅臼漁協などによると、今季は漁期(1月1日~3月15日)のうち、2月5日までの22日間に同漁協所属の16隻が操業。このうち臨検は計10日間あり、多い日は全16隻が受けた。また同漁協は操業期間中、安全操業の海域でロシアのトロール船計71隻の操業を確認。漁協側の漁具被害額は計5件約270万円に上った。
昨年以降、スケソウの安全操業の条件に、ロシア側への網の位置情報の報告が加わった。水産庁などは、トロール船による漁具被害の軽減につながると説明する。ただ、安全操業に出漁した男性船長は「自分の網も複数回破られ、効果があるとは思えない」と話す。
安全操業は、日ロ両政府の合意に基づき98年から実施。管轄権に触れない形でロシア側に資源保護協力費などを払っている。スケソウの安全操業で臨検を受けた漁船は、17年までは0~8隻だったが、18年(延べ83隻)以降、大きく増えている。(小野田伝治郎)
コメント