その犬は、住民から「ボス」と呼ばれていたホームレス犬だった。ペスト菌による感染症で死んだ。ちょうど1年前のことだ。人々にとって、その犬は自由と親愛の象徴だった。銅像建立にかかわるボランティアが、なぜホームレス犬の死を悼み銅像を建てるのか、それが町にとってどのような意味を持つのかを語ってくれた。
物語は2014年にさかのぼる–。1人の少女がホームレスのハスキー犬を見つけた。彼女は妊娠していた。1週間後、赤ちゃんを産んだ。後に「ボス」と呼ばれるオスの子犬はソコル村のある家族に引き取られていった–動物保護団体のアンナが語った。
夏になると、成長した子犬の姿がダーチャで見られた。しかし、その後、ボスはドリンスクの町をさまようようになった。一体、何が起きたのか。ボスを連れて行った人々が、なぜ捨てたのかは不明だ。その家族にとって必要ない存在となったのだろう。
ボスは美しかった。風格さえ漂わせていた。ドリンスクの人々はボスに惹かれていった。ボスは町のあちこちで歓迎され、夜は住民の家で過ごした。日昼は商店の軒先で日向ぼっこをした。店主は彼を追い払うことはなかった。住民と一緒に郵便局に行き、子供たちとも仲良く遊んだ。住民の何人かは、毎日仕事にでかける前に、ボスに手を振り、ちょっとした食べ物を置いていくのが日課になっていた。
ボスは格好良かった。彼は子供たちをとても大切にした。そして、人々の家で眠った。多くの人が彼にエサをやり、遊んだ。多くの住民がボスを我が家に引き取ろうとしたが、誰もボスを飼いならすことはできなかった。
昨年の5月19日、彼は逝った。「私たちは治療のためたくさんのお金を集めました。何人かはボスに寄り添って夜通し看病しました。だけど…」と、アンナは続けた。
全てのホームレスの動物に捧げられる銅像は、5月下旬から6月上旬に友愛公園に設置される。公園の隣には登記所がある。新婚のカップルが幸運を祈って、ボスの鼻をなでられるように、この場所が選ばれた。彫刻家のウラジミール・チェボタエフが制作に励んでいる。(astv.ru 2021/3/24)
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