道は12日の道議会北方領土対策特別委員会で、北方領土の元島民らが古里で墓参りする北方領土墓参事業について、島に上陸せず、墓地に近い海域などに停泊した船上で慰霊祭を行う「洋上慰霊」の実施を、本年度の新たな事業として検討していることを明らかにした。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた臨時の措置で、従来の墓参事業の実施は引き続き求めていく。(北海道新聞2021/5/13)
道によると、荒天や波高など安全上の理由で島への上陸を断念し、やむを得ず船上で慰霊祭を行うことはあるが、当初から洋上慰霊を想定した事業は初めて。
感染拡大で墓参事業を含む6月までの四島交流事業の中止が決まったことを受け、元島民らでつくる千島歯舞諸島居住者連盟(札幌)が4月に道に洋上慰霊の検討を要請していた。ビザなし交流や自由訪問を含む7月以降の事業に関し、月内にも行う国への要望に盛り込む。感染対策が万全かを確認するため、根室港で四島交流事業のチャーター船を使った検証作業を速やかに行うことも求める。
実施時期などは今後検討する。根室海峡の日ロ中間ラインを越えた四島側で行うことも想定し、外務省や内閣府とも協議する。高齢化が進む元島民の援護のため緊急的な事業として行う。(犬飼裕一)
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