ロシアが実効支配する北方領土の総人口は今年1月1日時点で前年比445人増の1万8810人に上り、5年連続の増加となったことが、ロシア連邦統計局への取材で分かった。特に択捉島は319人増の6799人で伸びが際立ち、軍事・社会インフラ整備の加速による移住・定住が進んでいるようだ。(北海道新聞2021/5/26)
択捉島を集落別にみると、ロシア軍の第18機関銃・砲兵師団が駐留し、兵士用宿舎の新設が相次ぐ瀬石温泉(ガリャーチエ・クリューチ)が74人増の2242人で最多。中心地の紗那(クリーリスク)が84人増の1603人で続き、学校や住宅の整備が進む別飛(レイドボ)も114人増の884人で人口増が著しい。
国後島は115人増の8681人で、北方領土最大の集落、古釜布(ユジノクリーリスク)が81人増の7906人。色丹島は11人増の3330人で、北部の斜古丹(マロクリーリスコエ)が26人増の2319人だった。歯舞群島は国境警備隊員以外の住民がいない。
北方領土を事実上管轄するサハリン州政府によると、北方四島の人口は開発に携わる労働者や軍人ら若者の流入による「社会増」に伴い、出生数が死亡数を上回る「自然増」になっているという。州経済発展省は「社会資本の整備や交通アクセスの改善が成功につながった」と自賛している。(ユジノサハリンスク仁科裕章)
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