北方領土を事実上管轄するサハリン州のクリール地区(択捉島、千島列島ウルップ島など)と南クリール地区(国後島、色丹島、歯舞群島)は5日、設置75周年を迎えた。南クリール地区では行政府所在地の国後島古釜布(ユジノクリーリスク)で記念式典が行われ、ロシアの実効支配を誇示した。(北海道新聞2021/6/6)
国後島の島民によると、式典には約250人が出席。サボチキナ副地区長があいさつし「南クリールは長く住んでいる島民のおかげで発展した。住宅や公共施設が建設され、暮らしは豊かになった」と強調した。
行政府前の広場では記念コンサートも行われ、多くの住民が節目を祝った。1960年から水産加工場で働くライサ・セレズネワさん(81)は「古釜布の経済状況は花が満開を迎えたような勢いだ。島に一生住み続ける」と話した。択捉島の島民によると、クリール地区の記念式典は9月に行政府がある同島紗那(クリーリスク)で行われる。
旧ソ連は45年8月9日に日ソ中立条約を無視して侵攻し、同28日から9月5日にかけて北方四島の占領を完了。46年6月5日にクリール、南クリールの両地区を設置した。日本の行政区画では、四島は北海道の一部で根室管内に含まれる。(ユジノサハリンスク仁科裕章)
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