北方四島などの開発を進める国家計画「クリル諸島社会経済発展プログラム」(2016-2025年)の中間結果を総括する会議が25日、ユジノサハリンスクで開催された。連邦院(上院)の連邦構造・地域政策・地方自治・北部問題委員会の上院議員とサハリン州政府幹部が出席した。クリル発展プログラムには2016年から5年間で477億ルーブルが割り当てられた。資金の内訳は約220億ルーブルが民間投資で、サハリン州政府が約200億ルーブルを拠出した。連邦政府からの資金供給はわずか59億ルーブルだった。(※若干数字が合わない)この間、住宅や教育・文化・スポーツ施設など50以上の社会資本が整備され、150件のプロジェクトが継続されている。州政府のベリク首相は「連邦プログラムの第1段階の重要な成果は地域経済、主に漁業水産施設の発展だった。この分野で3.5倍に増えた。サハリン–南クリル(北方四島)航路用に新しいフェリーが2隻建造されたほか、地域の航空路線を充実させるため小型旅客機も購入した。クリル諸島では35kmのアスファルト舗装道路が完成した。結果として人口が増加している」と述べた。会議のもう一つのトピックはクリル発展プログラムを着実に実行するための連邦政府からの追加的資金供給だった。州政府は、島民の生活の質を向上させるためさらに250億ルーブルが必要だと説明した。特に、エネルギー供給については過去5年間で四島の電力需要は25%増加し、2025年までにさらに1.7倍に増えると見込まれている。電力業界では再生可能エネルギーの開発を含めて5つの優先プロジェクトを開発した。また、デジタル格差の問題を解決する必要がある。北クリルのパラムシル島の住民はいまだに高速インターネットを利用できず、国後島、択捉島、色丹島のように海底に光ファイバー通信回緯線を敷設しなければならない。パラムシル島で、船舶のための新しい係留施設を整備し、海上交通アクセスの向上を図り貨物取扱量を増やすことが求められている。このことは、北クリルのオネコタン島(温禰古丹島)の観光投資プロジェクトの実施と関連しており、特に重要である。択捉島では、現在ある深海バース(海中に杭を打ち込んで岸壁を支持している)を防波堤構造として波の影響を受けずに、荒天時も安全に接岸できるようにすることで、輸送の信頼性を向上させる必要がある。このほか、クリル諸島の開発に関して、連邦政府の支援が求められる分野として、沈没船の処理がある。さらに、社会施設などの建設用地の不足や建設に必要な砂利採掘に伴う法的規制の緩和なども重要だ。ウラジミール・ゴロデツキー副委員長は「この5年間で多くのことが達成された。学校や幼稚園、医療機関などの社会施設が建設され、クリル諸島に初めてアスファルト道路も登場した。人々は新しい住宅に移り住んでいる。しかし、島の資源が十分に活用されていない。その理由の1つは、連邦政府による財政支援が不十分であるということだ。この状況を変えることが我々の仕事だ」と総括した。会議での議論は、連邦政府に提出され、検討に付される。(サハリン州政府ウエブサイト2021/6/25)
ゴロデツキ―副委員長
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