ロシア島民も交流望むビザなし渡航、8月も中止 宿泊施設を改修/初の土産物店オープン

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 日本政府は13日、コロナ禍を理由に8月の北方四島ビザなし渡航を中止すると発表した。2年連続の全面中止が現実味を帯びる中、北方領土のロシア人島民からは早期の往来再開を願う声が上がっている。国後島では宿泊施設が改修されるなど再開を見込んだ動きも出ているが、行方は見通せない。(北海道新聞2021/7/14)

 「1年半以上も日本人が訪れておらず、とても寂しい。受け入れ準備はできているのに」。国後島の中心地、古釜布(ユジノクリーリスク)にある宿泊施設「友好の家」のマリヤ・ジャジェチコ管理人は、北海道新聞ユジノサハリンスク支局のマリヤ・プロコフィエワ助手の取材に語った。

 コロナ禍前、ビザなし渡航の日本人訪問団が毎年利用していた友好の家。日本人の訪問を見越して5月に室内の壁紙を張り替えたというが、現在、宿泊しているのはモスクワなど大陸からのロシア人観光客らだ。

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 日本の訪問団が必ず視察する古釜布の幼稚園「アリョンカ」の前には今夏、初の土産物店が開店を計画している。店主のオクサナ・リズニチさん(52)は「国後島の自然を表すキーホルダーなどを手作りし、日本人に売りたい」と、往来の再開を期待する。

 ビザなし交流を通じて、日本本土への訪問を待ちわびる人もいる。択捉島の中心地、紗那(クリーリスク)の公務員マリーナさん(40)は「娘に日本の文化を紹介したい」と語った。

 四島を事実上管轄するサハリン州の保健省などによると、島民のワクチン接種率は3~4割程度。ただ、既に大陸からのロシア人観光客などを受け入れており、島民にはビザなし渡航再開への抵抗感は薄い。日ロ両政府の関係者は中止の要因として、医療体制が脆弱(ぜいじゃく)な四島関係者側に、日本人の訪問への懸念が強いことを挙げるが、ロシア人島民からは「日本人がコロナを怖がり再開できない」との受け止めが多く聞かれた。

 国後島の女性教師は「東京五輪を開催できたら、ビザなし渡航も再開するはず」と期待していたが、無観客開催でしぼんだ。サハリン州や日本本土で感染が再拡大しており、択捉島の会社社長は「感染が広がっている時期に、ビザなし渡航を再開するのはおかしい」と語った。(ユジノサハリンスク仁科裕章)

 

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