国後島・東沸 アンドレーエフカ川で珍しい河川残留型アメマスの群れを発見

国後島・東沸の西を流れるアンドレーエフカ川で、今年8月に実施された淡水魚類調査で、研究者が一生を淡水で過ごす河川残留型のアメマスの群れを確認した。アンドレーエフカ川はボロビョフ山(クリル自然保護区のエリア)の斜面から始まり、南クリル海峡(太平洋)に流れ込む。河口から150mに、高さ約1m最初の小さな滝があり、河口から40mのところに2つ目の滝がある。この第2の滝が魚の移動の障害になっている。主にオショロコマが生息すると考えられていたが、魚類や生物科学の研究者らが調査したところ、予想に反してアメマスが支配的だった。川の下流には河川残留型と海に出て川に戻って来る降海型の両方が生息していた。しかし、第2の滝から上流では、河川残留型のアメマスの群れが見つかった。日本ではよく見られるが、クリル諸島、サハリン、カムチャツカでは典型的ではない。「このアメマスは上流のどこから来たのか。おそらく、数十万年から数百万年前の海面がはるかに高かった時に、その場にとどまった」という。川の魚はゆっくりと成長し、上流に生息する魚は30~100グラムと小さい。暗い色をして7年ほど生きる。海で餌をとる遡上性の魚ははるかに大きく、体重はキログラム単位。遡上性のアメマスは川の下流でのみ捕獲され、明るい色をしている。海での暮らしに引き寄せられるほど、魚体は明るい銀色になる。研究者らは20年前に国後島北部のティアティナ川(恩根別川)とサラトフスカヤ川(セオイ川)を調査したが、その時はオショロコマが支配的だった。生存条件が非常に厳しいことから、条件に適した別のタイプの魚に取って代わる。研究者は「間違いなく、もっと調査が必要だ。他の川でも、アンドレーエフカ川のように「覇権」がアメマスに引き継がれた可能性が排除できない。これは気候変動の間接的な証拠になるだろう」と魚類学者は言った。(サハリン・メディア2021/8/15)

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アンドレーエフカ川の中央部で捕獲されたアメマス

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アンドレーエフカ川の第1の滝

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川の下流で捕獲した溯上性のアメマス

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オショロコマは赤みがかった斑点によってアメマスと区別することができる。写真はアンドレーエフカ川で捕獲したただ一匹のオショロコマ

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オショロコマ(上)と遡上性のアメマス

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第2の滝

 

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アンドレーエフカ川の上流で捕獲された河川残留型アメマス

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年輪が木の年齢を反映するのと同じように、耳石は魚の年齢を反映する。夏には成長が大きく、層は明るい。冬には成長が小さく、この層は暗くなる

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2〜3歳の河川残留型アメマスの耳石

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この耳石によると、このアメマスは7歳

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