北方領土の元島民らでつくる千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟、札幌)根室支部は、10月中旬に根室市の納沙布岬で初めて慰霊祭を行う。今年は新型コロナウイルスの影響でビザなし渡航が2年連続で全面中止になるなど、慰霊の機会が失われた。このため本土最東端の地で、島に眠る祖先に手を合わせる場を設けたいと考えた。(北海道新聞2021/9/16)
場所は歯舞群島や国後島が望める、領土返還祈念のモニュメント「四島(しま)のかけ橋」周辺を想定。コロナ対策のため参加者は元島民や親族を中心に絞る方向。日程や具体的な内容は今後詰めていく。同支部は15日、根室市にも協力を要請した。
今年はビザなし渡航の中止を受け、道と千島連盟が四島周辺水域で船による「洋上慰霊」を検討していたが、新型コロナの影響で見送られた。昨年、道などが実施した北方領土手前の上空を飛行機で飛ぶ「上空慰霊」の計画もない。
同支部の宮谷内(みやうち)亮一支部長(78)=国後島出身=は「ビザなし中止で元島民の気持ちのやり場がなくなってしまった。島影を見ながら、島を思う場をつくる必要があると考えた。慰霊の場を設けるのは領土返還要求運動原点の地である根室の住民の役割だ」と話している。(武藤里美)
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