ウルップ島 クリルの謎に50人の科学者が迫る

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 ロシアの科学者が数十年待っていた遠征が実現した。50人以上の科学者がクリル諸島で4番目に大きいウルップ島に上陸した。ここには本当の富が隠されている。たとえば、金や銀、そして信じられないほど豊かな水中の世界…。(5-tv.ru 2021/9/19)

Видео: Какие тайны и секреты хранят Курильские острова (5-tv.ru)

 荒天時にはクリル諸島に行くことはできない。船は行かず、飛行機も飛ばない。1年中、霧と非常に強い風が吹く。隣の択後島からウルップ島はわずか60~70kmだが、通常移動は不可能に近い。50人の科学者をウルップ島に運ぶために、ロシア太平洋艦隊の艦船を使用する必要があった。

 

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 ウルップ島には道路はなく、当然クルマもない。だから、島のどこか1箇所にベースキャンプを建設するのは意味がない。科学者たちはグループに分かれ、それぞれ別々の湾に上陸した。

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 考古学者たちは、ソビエト軍が使用していた基地の跡をベースにした。ここは平たんで、2000年以上前に人々が暮らしていた。考古学者のオクサナ・ヤンシナは、新石器時代の極東を研究している。クリル諸島の古代史は、まだ完全には開示されていない秘密への答えを提供してくれる。「非常に珍しい土器が見つかった。この遺跡はとても興味深い。南の島々でそのような土器を見たことがない」と、オクサナ・ヤンシナが言った。

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 この食器に使われていた土器の破片から、多くのことが分かる。「黒っぽいのは煤。これから化学組成と脂質を調べると何を食べていたかが分かる」という。ほとんど行くことが出来ない絶海の孤島であるがゆえに、考古学的な遺跡はいい状態でて保存されている。島に行くことはほとんど不可能であるため、考古学的に重要な遺跡はとりわけいい状態で保存されている。

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 「島の南にある湖の1つで、非常に興味深い水生植物が見つかった。私たちはヒメミズニラを確認した」とロシア科学アカデミー植物研究所の主任研究員であるエレナ・グラスコワは言った。ウルップ島でのみ育ち、他の場所では育たない固有種が7種ある。

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 沼地は植物学者にとって宝物であり、泥炭層は年代記のようなものだ。「泥炭の厚さと堆積速度から判断すると、おそらく、この埋められたハンノキの枝は約12000年前のものと言える」と、地理学者のセルゲイ・ホフロフは説明した。

 ロシア地理学会の遠征により、クリル諸島が再び開かれた。およそすべての分野の科学者が一度にこれだけ集まったのは、かつてないことに違いない。日本に属していたころ、日本人はクリル諸島を軍事的に開発していた。ここにはこれらの痕跡がたくさんある。

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 「これは日本の四一式山砲の75mm弾。薬莢には火薬が入っており、痕跡から判断すると2回使用されたものだ」とユジノサハリンスクのポベダ博物館・記念館の科学部門の責任者であるイ―ゴリ・サマリンは言いう。

 第二次世界大戦中、日本の駐屯軍は戦いなしでソビエト軍に降伏した。歴史家は降伏の過程がどのようなものであったのか記憶を保存してきた。「堤師団長は敗北のしるしとしてグネチコに軍刀を差しだしたが、グネチコは勝者の寛大さを示して、軍刀を日本軍の将軍に返した」と、サマリンは言った。

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 別の調査隊はクリル諸島の海中に潜っていた。水生生物学者とダイバーにとって最大の驚きは、海の多様性だった。水温は平均して摂氏4~5度である。「ここには、ガラパゴス諸島のように、生命の躍動がある。素敵な暖かい海のように。昆布の広大な森。その葉は本当に巨大だ」とテクニカル・ダイバーのセルゲイ・ゴルピニュクは言う。

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 科学者たちは採取したすべてのサンプルを持っていった。遠征の終わりに、救助船アラゲスのダイバーは海底からマッコウクジラの頭蓋骨を引き揚げるのを手伝った。博物館に展示するためだが、これは国内で最大の展示品になるとみられる。「上昇中に彼を失うことは非常に危険でした。予想以上に頭蓋骨は重く、引き揚げる途中で失う危険があった」と国防省の遠征センターのアナトリー・カレンバーグは振り返った。

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 遠征に参加した50人以上の科学者は、収集した膨大な量のサンプルやデータを研究するためにすでに帰路に就いた。「ウルップ島に自然保護区をつくる必要がある」–彼らは、そう主張できる可能性が十分にある。そうなればロシアの最も辺境な場所の1つの独特の自然が人の手に触れられないまま残ることになる。

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