富山県北方領土史料室の開設1周年記念セレモニーは23日、黒部市生地の市コミュニティセンターで行われ、関係者約70人が元島民3世の写真家山田淳子さん(39)=富山市出身、東京=の講演などを通じて、返還運動の取り組みへ思いを新たにした。山田さんは記憶が薄れていく中で、島の現実や元島民の思いを若い人たちに伝える大切さを訴えた。(北国新聞2021/9/24)
北方領土から富山県への引き揚げ者は1425人で北海道に次いで多い。黒部市はこのうち835人を占めることから、北方領土返還要求運動県民会議が昨年9月、史料室を市コミュニティセンター内に開設した。富山と北方領土の関わりを紹介、史料の保存・継承などに当たっている。今月20日までに全国から6270人が訪れた。
式典では、県民会議会長の五十嵐務県議会議長が「幅広い世代が史料室を利用してほしい。返還要求運動に粘り強く取り組み、次世代の後継者育成事業などを積極的に展開していく」と式辞を述べた。
新田八朗知事は日本青年会議所で返還運動に取り組んだ経験を振り返り「早期復帰に全力を挙げる」と強調、史料室長の大野久芳黒部市長は「管理運営を支え、さらなるアピールに努める」とあいさつした。北方領土問題に取り組む鈴木宗男参院議員も出席し、問題解決に尽くす決意を述べた。
山田さんは北方領土をテーマに写真撮影を続けており、作品32点を市コミュニティセンターに展示した。
「島々の記憶~私の血が記憶を継ぐ意味について」と題した講演では「行きたくても行けない、近くて遠い島がある現実や元島民の思いを若い人に知ってほしい」と呼び掛けた。
写真展の作品を解説する元島民3世の山田さん(右)=黒部市コミュニティセンター
史料室開設1周年を祝う関係者(北国新聞)
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