8月中旬、国後島で保護されたオジロワシが、クリル自然保護区スタッフによる治療やリハビリを受けて、1カ月後の9月のある日、大空に飛び去った。保護された時、オジロワシの右翼には犬かキツネに噛まれたとみられる古い傷があったほか、頭部に1.5㎝ほど皮膚がなく頭蓋骨が露出していた。飛ぶことも出来ず、外部の刺激に反応することはなかった。専門家は傷を消毒し、皮膚や羽の寄生虫を取り除いた。次にエサやりに取り組んだ。オジロワシは自力では食べられず、スタッフが注射器でエサを与えたり、魚や鶏肉を飲み込ませる必要があった。保護から5日目になってやっと自力でエサを食べ始めた。傷が回復し、体力が戻り始めたころから、柵で囲まれたケージに連れていき、歩行や羽ばたく訓練を始めた。小さなベンチに飛び乗って羽ばたき、柵を越えようとしたが、出来なかった。そして9月のある日、オジロワシは突然フェンスを飛び越えることに成功。そのまま、空中に舞い上がり飛び去った。オジロワシはロシア連邦のレッドデータブックに搭載された希少種で、害を及ぼすことはもちろん、自然の生息地から移動させることも法律で禁じられている。今回の治療とリハビリは、ロスプリロドナゾール(天然資源環境省地下資源監督庁)の許可を得て行われた。(サハリン・インフォ2021/10/8)
コメント