岸田政権発足と並行して公開された映画007シリーズの25作目『No Time To Die』は、日系4世のキャリー・フクナガ監督の趣向からか、「日本」がしばしば登場する。ラミ・マレック演じる悪役は、能面を愛用し、要塞のアジトを枯山水や盆栽、畳で飾り付け、お辞儀や土下座のシーンもある。要塞の島は「日本とロシアが領有権を争う小さな島」という設定で、北方領土の歯舞諸島に当たりそうだ。(PRESIDENT Online 2021/10/19)
終盤では、細菌兵器を培養する要塞を攻撃するため、英軍のミサイル艦が島に接近し、「日本とロシアが領海侵犯で英政府に抗議」という場面がある。実際の撮影は、デンマークのフェロー諸島で行われた。
007第1作の『ドクター・ノオ』が封切られたのは、米ソ冷戦華やかなりし頃の1962年だった。冷戦の落とし子でもあるジェームズ・ボンドが、戦後の冷戦構造が微動だにしない「北方領土」を舞台に躍動するのは象徴的なシーンかもしれない。映画は、戦後76年を経ても日露間に領土問題が存在することを世界に想起させた。(以下略)
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