1792年に根室に来航したロシア初の遣日使節、アダム・ラクスマンの派遣に深くかかわった父キリル・ラクスマンの故郷、フィンランド・サボンリンナ市長の手紙が5日、根室市に届けられた。来年は大黒屋光太夫らを連れてラクスマンが来航してから230年の節目でもあり、両市の友好を深めたいとの願いが込められている。(北海道新聞釧路根室版2021/11/6)
手紙はサボンリンナ市のヤンネ・ライネ市長から石垣雅敏市長に宛て、英語で書かれている。手紙を届けたのはサンボリンナ市在住で同市の元市議、岡部千栄子さん(64)。5日に根室市役所を訪れ、出張中の石垣市長に代わって応対した竹本勝哉副市長に手渡した。
手紙は「ラクスマン親子と大黒屋光太夫の思い出によって、将来にわたり交流が深まることを願ってやみません」と記し、サボンリンナ市への石垣市長の来訪を呼び掛けている。
キリル・ラクスマンは長くロシアで暮らした博物学者。アリューシャン列島アムチトカ島に漂着した船頭、大黒屋光太夫と交流を深め、帰国に尽力した。女帝エカテリーナ2世に遣日使節を提案し、自ら次男アダムを推薦した。
手紙を受け取った竹本副市長は「ラクスマン来航の玄関口、根室では重要な歴史としてとらえている」と述べ、来航200年の節目に行った記念行事などについて説明した。
サボンリンナ市立博物館は来年5~8月にアダムについての展示会を開く予定だという。岡部さんは「フィンランドでラクスマンはあまり知られていない」と話し、6日まで根室に滞在し、根室港などゆかりの地を見て回り、展示に生かしていくという。(黒田理)
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