12月4日の日本の北海道新聞によると、釧路や北見など国内の劇場で、ドキュメンタリー映画「クナシル」が公開された。監督はベラルーシ出身のフランス人、ウラジーミル・コズロフ氏。実際の撮影は2018年5月から6月に行われた。
この映画はソ連軍が国後島に上陸した歴史の再構築やロシアの軍事力の誇示、見苦しい島の現実の中で生活に苦しんでいる6人の地元住民らよるインタビューで構成され、日本との経済交流の発展に対する彼らの期待を物語っている。どうやら、映画メッセージはまさに、そのことにあるようだ。
地方自治体の代表がクナシルについて語るショットは、1946年の移住政策で島にやってきた高齢の住民にとって代わられた。彼は当時、日本人がどのように島から強制的に追い出されたか、日本人の墓地がどのように破壊されたかを語る。別の男性は「ここはゴミと戦車、兵器の島だ」と憤慨し、ある女性は下水道が整備されていないことへの不満を訴えた。
映画「クナシル」は、2020年11月にフランスで開催されたドキュメンタリー映画祭でグランプリを受賞した。日本で影響力がある読売新聞は「ロシア当局によるプロパガンダ的な映像が多い中で、地元住民へのインタビューで『北方領土』の状況を批判的に語ることは稀である」と結論づけた。コズロフ監督によると、実際には『北方領土』問題を提起することは禁じられているが、現在のロシア人の多面的な生活からこの問題を研究、理解しようと試みたという。
映画「クナシル」のウエブサイトには映画の序文が掲載されているが、これは日本人愛国者から涙を誘うような表現になっている。「北海道からわずか16キロの近くて遠い島。かつて北方四島には約1万7,000人の日本人が住んでいた。戦後1947年から1948年にかけて、島民は本国に送還され、今日では日本人は一人もいない。日本政府は領土問題か解決するまでこれらの島々を訪問しないよう国民に求めている。
日本人はクリル諸島南部にロシアの主権が存在することを認めることを頑固に拒否している。北方四島(別の言い方では北方領土)は択捉島、国後島、色丹島や小クリルの島々をさすが、改正されたロシア憲法に従い、ロシアの大統領と国の高官は「これらの島々はロシア領土の不可欠な一部である」と明言している。
ドキュメンタリー映画「クナシル」がどのように意図的に撮影されたか。映画のウエブサイトの「作者から」というメッセージの中で、コズロフ監督は「ロシアの現実の社会問題を明らかにすることが出来た」と述べている。そして、今では「紛争の島々」の早期返還を訴える日本の愛国者にとって、切り札になる可能性がある。(サハリン・インフォ2021/12/10)
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