創業135年。漁師まちに酒はつきものだ。大漁なら祝い酒、不漁でもやけ酒。初代は「本州からお酒を持って来るから高くなる。根室で造れば手に入りやすくなる」と考えた。根室空襲、北方領土への旧ソ連軍侵攻、200カイリの漁業規制…。戦前から数々の苦難に見舞われた根室の人たちの心と体を温めてきた。「地元の方々に飲んでいただくお酒を造る。うそをつかない。ごまかさない」。創業時からの経営理念に揺るぎはない。99年、1万1千本の本醸造酒の出荷を直前に中止した話は有名だ。試飲すると何かが違うと感じた。「買って飲んでいただくのだから、納得できないものを売ってはいけない」と決断した。地元では酒造りへの真摯な姿勢が評価された。さて「搾りたて」、今年の発売日は?「一番おいしい時に出ます」ときっぱり。そして、こう諭された。「飲み過ぎはいけません。腰が立たなくなります」。アルコール度数が18.5度と高めであることを忘れてはいけない。(北海道新聞釧路根室版2022/1/5 黒田理)
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