カムチャツカに基地を置く沿岸ミサイルシステム「バスティオン」部隊がクリル諸島(千島列島)中部のマトゥア島(松輪島)に展開した。ロシア軍情報筋によると、第520沿岸ミサイル・砲兵旅団には2つのバスティオン部隊と1つのバロフ部隊が含まれ、以前はカムチャツカに配備されていた。専門家は「バスティオン部隊の1つがマトゥア島に送られた」という。
マトゥア島のミサイル部隊の要員は常に交代する。一定期間任務に就いた後、将校・兵士は休暇のため本土に送られると、情報筋は語った。各隊にはランチャーを搭載した4台の全地形対応車が装備され、合計8発のミサイルを発射できる。
マトゥア島はクリル諸島のほぼ真ん中にあり、オホーツク海に通じる海峡を管理することが可能だ。専門家は「クリル諸島は重要な障壁である」と強調する。「オホーツク海は核を搭載した戦略原潜の主要な活動エリアの1つとみなされている。ロシアが攻撃を受けた場合、報復攻撃を行わなければならない。新しい部隊の任務は他国の海軍をオホーツク海に入れないことだ。マトゥア島には地対艦ミサイルが配備される以前は、クリル諸島南部(北方四島)に部隊が配置されているだけだった」と強調した。
クリル諸島での最初のバスティオンは2016年に択捉島に配備されたが、それはすぐに国後島に配備された長距離の地対艦ミサイル「バル」で補強されている。
マトゥア島のバスティオンは海域だけでなく、核を搭載した原潜基地があるカムチャツカ半島もカバーする。専門家は「現在、太平洋における戦略原潜部隊は強化されており、核抑止戦略上、その役割は拡大している。今年は最新鋭の原潜クニャズ・オレグがやって来るし、将来的には核搭載魚雷ポセイドンの輸送船がカムチャツカに配備される予定」と語る。
第二次大戦中、マトゥア島には日本軍の海軍基地、飛行場、地下要塞があった。この島は長い間、調査されてこなかった。近代的な基地インフラの構築を開始する前に、ロシア軍は地理学者など幅広い分野の研究者とともに詳細な島の調査を行った。「今では、国防省はインフラを整備し軍隊を配備している。軍の町が短期間にマトゥア島に建設された」という。建設に当たり、悪天候が島の守備隊を本土から長い間遮断する可能性があることが考慮された。軍駐屯地は将校と兵士が自立的に生活できるよう設計されており、各種サービス、生活、レクリエーションを目的とした施設の改善に関するすべての作業が完了している。バスティオンの発射位置は事前に準備され、必要な格納庫、物資の保管施設が整備され、発射位置へのアプローチも整備された。(イズべスチャ2022/1/12)
日本の防衛省資料(令和4年1月)
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