ロシアのウクライナ侵攻に関し、ロシアのモスクワ総主教庁をトップとする釧路ハリストス正教会(釧路市)が侵攻を非難する異例の声明を発表した。同じく同総主教庁傘下にありながら侵攻に強く抗議するウクライナ正教会に賛同し、即時停戦を訴えている。(北海道新聞釧路根室版2022/3/22)
「ウクライナに対する攻戦を止め、かしこに和睦と平安との栄えんがためになんじに祷(いの)る」。同教会では侵攻開始3日後の2月27日の祈祷(きとう)から、ウクライナでの戦闘の犠牲者のための祈りと、停戦を呼びかける文言を加えた。内田圭一司祭(49)は「戦闘が終わるまで訴え続ける」と話す。
道内8教会を含め日本に60余りある正教会は財政的にロシア正教会のモスクワ総主教庁から独立しているが、教義を共にし組織上は傘下にある。同総主教庁のトップはプーチン大統領と近いとされている。
釧路ハリストス正教会は「全ての人に神が平等に与えた生命の尊厳を暴力的に奪う行為は絶対に許されない」として今月8日、同教会のホームページに「ロシア軍のウクライナ侵攻に対し、反対する」との声明を発表。同教会が所属する日本ハリストス正教会(東京)も10日に声明を出したが、「全世界における友愛と平和の実現を祈る」などとロシアに対する立場ははっきり示さなかった。
日本の多くの教会も戦争反対はうたっているものの、ロシアに対する立場を釧路ハリストス正教会ほど強く示していない。内田司祭は「モスクワ総主教庁の下にあるかは関係ない。一人の人間、正教徒としてロシア軍の侵略に抗議する」と力を込める。(今井裕紀)
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