日本200カイリ水域内のサケ・マス流し網漁が3日午前0時に解禁された。この時期に取れる脂の乗ったトキシラズ(回遊中のシロザケ)を求め、根室・歯舞漁港からは小型船(14トン未満)4隻が出漁した。ロシアのウクライナ侵攻により日ロ関係が悪化する中、漁業交渉が難航し、例年より3週間余り遅い出漁となった。今週末にも初水揚げされる見通しだ。(北海道新聞2022/5/3)
うっすらと霧のかかった歯舞漁港では、家族や漁協職員が手を振り「安全操業で行ってらっしゃい」と声を掛ける中、エンジン音を響かせ、小型船が次々と岸壁を離れた。
第88好恵丸の船主、東野勝好さん(72)は「漁期を1カ月近く逃したのは痛いが、待ちに待った出漁だ。昨年以上の水揚げを期待したい」と語った。
別の漁船の機関長(48)は「こういう情勢なので、ロシア水域の近くで操業するときには注意したい」と気を引き締めた。
この日は根室市内の花咲、落石の両漁港からも各1隻が出漁した。
漁は例年、4月10日に解禁されるが、今年は日ロ政府間交渉の妥結が同22日にずれ込み、出漁が遅れた。太平洋小型さけ・ます漁業協会(札幌)によると、今年は根室市や釧路管内厚岸町などから、昨年より12隻少ない計19隻の小型船が操業を予定している。日程が不透明だったため準備が間に合わず、3日の出漁を見送った船もあった。
漁獲実績に応じて、サケの生まれた川があるロシアに支払う協力費は下限を昨年より6千万円引き下げ、2億円となった。漁獲枠は2050トンで昨年と同じ。漁期は7月7日まで。(川口大地)
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