材木岩は国後郡秩苅別村字ヤエタヱコタンの鼻にあり。長さ数町に亙(わた)る岩礁にして、恰(あたか)も長き角材を夥(おびただ)しく海岸に立て掛けたるに似たり。即ち材木岩の名称ある所以(ゆえん)にして、又その斜面には巨巌波浪磨して自ら亀甲状を形成す。沖合より遥かに之れを眺むれば自然の景趣絶を極む。屏風岩は材木岩を距る遠からず島登りの東にあり、紫クロの角石二町計りの間恰も屏風を立てたるに似て、海水相映じて一幅の書を見るが如く見る者鑑賞措く能わず。
クリル自然保護区のウエブサイトより
4000万年~5000万年前、当時はまだ名前がなかったメンデレーエフ火山(羅臼山)の噴火によって玄武岩質の溶岩が海に流れ込んだ。海水で冷やされた溶岩はゆっくりと固まり、5角形と6角形の柱のような割れ目をつくっていった。長い時間をかけて玄武岩の塊は海から上昇し、最も高いところで50mにもなった。地元住民はそれをストルブチャティ(柱状)の岬と呼んだ。ストルブチャティ岬はロシア最東端のランドマークであり、クリル諸島のシンボルである。クリル自然保護区に含まれており、天然記念物に指定されている。世界には数十もの柱状節理があるが、大きくて同時に保存状態が良い場所は2カ所しかない。それがストルブチャティ岬であり、もう1つは北アイルランドのジャイアンツ・コーズウエーである。
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