ロシア外務省が北方四島周辺水域での日本漁船の安全操業に関する政府間協定の停止を表明したことを受け、トルトネフ副首相は9日、日本漁船が操業しなくなれば「ロシアの漁業会社がその水域に参入する」と主張した。四島を事実上管轄するサハリン州からも協定の停止を支持する声が上がっている。(北海道新聞2022/6/10)
国営タス通信によると、トルトネフ氏は極東ウラジオストクで開かれたフォーラムで、ロシアでは生産性の高い漁獲が可能な水域が限られているため「(漁業者間の)競争がある」と指摘。四島周辺が好漁場であることを念頭に「ロシアの漁業会社がやって来ることを確信している」と述べた。
一方、ロシア地理学会サハリン支部長で対日強硬派で知られるポノマリョフ氏は8日、国営ロシア通信に対し、安全操業の協定について「(対象水域が)ロシアの領海であることに触れていない」と批判。「一方的で不平等だと当初から反対していた」として、協定停止を支持した。日本漁船の操業によって、地元の漁業者が水産物を漁獲し、加工する機会を奪われており、サハリン州議会で過去に6回、協定への反対が決議されているとも主張した。
全ロシア漁業協会のズベレフ会長は9日、タス通信に対し、「ロシア外務省は協定の枠組みを維持するか、反ロシア制裁に加わるか、どちらが重要かを選ぶよう日本に提起した」と語った。
日本の漁業権、取り上げも ロシア副首相、北方領土周辺で
(共同通信2022/6/10)
北方領土周辺水域で日本漁船の操業を可能にする「安全操業協定」の履行中断をロシアが発表した問題で、ロシアのトルトネフ副首相は10日、北方四島周辺で日本側に割り当てた漁業権は「取り上げられるだろう」と述べた。タス通信が伝えた。
トルトネフ氏は、日本が漁業権割り当てに対する支払いを拒否しているとし、責任は日本側にあるとの見方を示した。
トルトネフ氏は9日にも、日本側が操業しなくなった海域ではロシアの漁船が取って代わると述べていた。日本側への圧力とみられる。
安全操業協定は日ロ間の漁業協定の一つ。ロシアが実効支配する水域で、日本側が協力金を払って漁を行っている。
安全操業の継続 鈴木知事、国に要請へ
(北海道新聞2022/6/11)
鈴木直道知事は10日の記者会見で、ロシア外務省が北方領土周辺水域での日本漁船の安全操業に関する協定を停止すると発表したことについて「遺憾だ。安全操業は地域経済にとっても重要だ」と述べ、速やかに操業が可能になるよう国に要請する考えを示した。
露の「安全操業協定」中断、コンブ漁への影響「危険を及ぼすことはない」 金子農水相
(産経新聞2022/06/10)
北方領土周辺で日本漁船が拿捕(だほ)されないための「安全操業協定」の履行をロシアが中断すると発表したことを受け、金子原二郎農林水産相は10日の閣議後会見で遺憾の意を表明し、「協定の下で操業が行われるよう適切に対応していく」と述べた。
また、今月に交渉が妥結したロシアに入漁料を支払って行う歯舞群島の貝殻島周辺でのコンブ漁への影響については、「ロシア側も(日本側が)操業ルールを順守していれば、危険を及ぼすようなことはない」と強調。「今まで以上に注意することが一番大事で、それが安全操業につながる」との考えを示した。
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