国後島のクリル自然保護区が2021年の活動記録をまとめた。74本の記事が収録されたが、このうち11本は島外から来た研究グループによる調査結果だ。2021年の調査活動は、鯨類を研究するモスクワ国立大学の遠征隊から始まった。5月~6月初旬の調査の結果、クナシリル海峡(根室海峡)でシャチ、クロツチクジラ、イシイルカ、ミンククジラ、ナガスクジの少なくとも5種類の鯨類が観察された。特筆されるのは、2019年に日本の研究者が発見したクロツチクジラを世界で初めて自然界で観察したことだ。国後島には4つの活火山があり、地質学者や火山学者を引き付けているが、7月にはペトロパブロフスク・カムチャツキーの火山地震学研究所の科学者が来島した。この調査では、国後島のゴリャチエ湖(一菱内湖)とキピャシチェエ湖(ポントウ沼)の最大深度が以前の測定によって得られた深度と大きく異なることが分かった。ゴリャチエ湖の深さはこれまで62mとされてきたが、約70mあった。16mとされてきたキピャシチェエ湖は約25mの深さがあった。また、2021年8月にロシア科学アカデミー(ウラジオストク)の極東支部の植物園研究所の研究者によって、レッドデータブックに記載された樹木の新しい生育場所や希少種のランの個体群が発見され、国後島の植生の地図が補充された。このほか地質、微生物、鳥類、植物、魚類など様々な分野での活動記録が収録されている。(サハリン・インフォ2022/7/12)
ケガをしたオジロワシを治療する保護区職員(2021年8月)
モスクワ国立大学遠征隊の調査中に根室海峡で観察されたシャチの家族(2021年5月)
地質植物の調査が行われた爺爺岳の斜面(2021年8月)
ロガチョフ島(荒島)と地平線上の爺爺岳
泊山のカルデラにある一菱内湖の色は、天候に応じてさまざまに変化する
泊山のヒグマ(2022年6月)
ロシア連邦とサハリンのレッドデータブックに記載されているゼニガタアザラシ
泊山の一菱内湖で行われた微生物調査
海岸に打ち上げられたミンククジラの剖検を行う調査スタッフ(2021年4月)
国後島・東沸の西を流れるアンドレーエフカ川で調査を行う魚類学
国後島ケラムイ半島のタンチョウ(2021年6月)
ロシア連邦とサハリン州のレッドデータブックに記載されているオオワシ(2021年12月)
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