日本政府がロシアに対する制裁に加わったことにより、ロシアと日本の交流は多くの地域で中断した。これは、クリル諸島南部(北方四島)のロシア人と日本人とのビザなし交流にも影響を及ぼした。2021年と2022年は新型コロナウイルス感染拡大により交流事業が中止となった。そして、ロシアに対する制裁措置に対して、ロシア外務省がビザなし交流と日本との平和条約締結交渉を停止すると決定したことにより、3年連続でビザなし渡航が中断している。外交分野で沸騰する反ロシア感情は、一般の人々に悪影響を及ぼしている。両国の関係が改善するのを待つしかない状況だが、1945年以降に母国に送還された元島民が親族の墓を訪れる機会は、少なくともあと1年遅れる。しかし、元島民の平均年齢は86歳—87歳だ。日本政府は、親族の墓参りが出来ない代替策として、洋上での慰霊を決定した。北海道新聞によると、2012年以降、ビザなし渡航に使用されている船「えてぴりか」が根室港に到着したという。7月23日からクリル諸島南部の水域に入り、慰霊を行う準備を整えた。8月10日までの間に10回の慰霊式が行われ、元島民や家族など330人の参加が予定されている。昨年も洋上慰霊が行われ、2020年には航空機による上空慰霊が実施された。択捉島、国後島、色丹島のロシア住民と日本国民との間で、1992年から2019年まで毎年ビザなし交流が行われた。1875年から1945年まで「チシマ」という名称で日本の一部だったクリル諸島の元島民が参加してスタートしたものだ。現下の国際情勢は、ビザなし渡航の問題をより不確実にしている。(サハリン・インフォ2022/7/23)
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