温暖化により再び赤潮の可能性を指摘 カムチャツカ科学研究機関

 ロシア科学アカデミー太平洋地理学研究所カムチャツカ支部は、クラシェニンニコワ島の沿岸海域と海岸を調査した結果、温暖化の影響で再び赤潮が繰り返し発生する可能性があるとリポートした。

(ロシア漁業ニュースヘッドライン2022/7/29)

 2020年9月-10月、カムチャツカ半島南東部アバチャ湾(52°50′N)で赤潮が発生し、水棲生物が大量死した。

 同支部によると今回の主な調査目的は、有害な藻類の異常発生“赤潮”から2年後の生態系の状態にかかる情報収集だった。

 2020年秋、観察された負の環境状況は、種の多様性と大型植物藻類の豊度にほとんど影響を与えていないことが分かった。また、甲殻類、軟体動物等の様々な種の無脊椎動物も十分な量が確認された。

 しかし、一方で、クラシェニンニコワ島沿岸海域の朝の*水温は16.4度とかなり高く、さらに温暖化が続くと赤潮が繰り返される可能性があると同支部は指摘している。2020年と同様な被害が懸念されるところとなっている。ロシア水産業界紙(WEB)が伝えた。

*赤潮の原因“セリフォルミス”が活発に増殖する水温は10度-17.5度とされている

道東の赤潮再発の恐れ ロシア由来とDNA一致 厳寒期に適応、生き残り増殖も 道総研など発表

(北海道新聞2022/4/1)

 道東の太平洋沿岸で昨秋発生した赤潮の原因プランクトン「カレニア・セリフォルミス」のDNAが、2020年秋にロシア極東カムチャツカ半島南部で発生した赤潮のセリフォルミスと一致したことが分かった。道東赤潮のセリフォルミスがロシア由来で、厳冬期でも生き残ることがほぼ確実となり、今後再び発生する恐れが強まっている。

 一般的な赤潮プランクトンは低温下で死滅するため、セリフォルミスが北海道の冬を越せるかどうかが焦点の一つだった。

 東大大学院と道立総合研究機構などの研究チームが米国の専門誌「Harmful Algae」(電子版)で発表した。チームは昨年9、10月に釧路、十勝両管内4カ所の海水を分析。セリフォルミスの個体群を識別するDNAがカムチャツカ赤潮と一致することを確認した。

 この結果、道東赤潮は20年9、10月にカムチャツカで赤潮を発生させたセリフォルミスが寒流に乗って道東にたどりつき、増殖した可能性が高くなった。道などのモニタリング調査では今年1月11日以降検出されていないが、わずかに生き残った個体が水温上昇などで再増殖する恐れがある。

 分析ではカレニア・ミキモトイ、タカヤマ属など計7種類のプランクトンが見つかり、セリフォルミスは体長が平均39・4マイクロメートルと、海外の報告より2倍近く大きいことも分かった。研究チームの岩滝光儀・東大院准教授は「道東のセリフォルミスは葉緑体の数もかなり多いなど(既存の報告と異なる)特徴がある」と指摘している。

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