北方領土について学ぶ富山県内の中学生視察団は25日、昆布漁が盛んな北海道羅臼(らうす)町を訪れ、富山県と北海道の食文化のつながりを実感した。「サケの聖地」と言われる標津(しべつ)町の標津サーモン科学館や、国後(くなしり)島に近い野付半島も訪れ、北海道の大自然や生態系について理解を深めた。(北日本新聞2022/8/26)
羅臼町コミュニティセンターでは、日本一の昆布と称される「羅臼昆布」の収穫から出荷までの工程を学んだ。地元で昆布漁に従事する井田一昭さん(69)が、生徒たちに昆布のひれを切り取る作業を伝授した。
井田さんの祖父は入善町出身だといい「羅臼には富山から来た人が多く住んでいる」と説明。羅臼で収穫する昆布のうち、半数近くが富山で消費されているとし「富山の人には頭が上がらない。いつも感謝している」と熱く語った。魚津市東部中1年の島詩月さんは「こんなにつながりが深いとは思わなかった。とても身近に感じた」と驚いた様子だった。標津サーモン科学館では、富山名物のますずしに使われるサクラマスなどサケ科の生態を学んだ。
野付半島では、約1時間半ほどかけて大自然を散策。天候に恵まれ、国後島がはっきりと海に浮かんだ。黒部市明峰中2年の桶屋総生(のぶまさ)さんは「北海道の大自然に触れることは、北方領土に暮らしていた人の生活を理解することにつながる」と話した。
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