ロシア サケマス製品輸出禁止案が修正再検討扱いとなる

 ロシア漁業庁によるサケマス製品の輸出禁止案が修正再検討扱いとなっていることを産業貿易省関係者が明らかにした。提案がサケマス製品と魚卵の価格低下に帰着する可能性が低いことが指摘されている。ロシア漁業庁は、2014年のクリミア併合に端を発した食品輸入禁輸措置にタイセイヨウサケが含まれていること、今年2022年漁期の太平洋サケマスの不漁から、サケマス製品の国内価格高騰抑制措置として、輸出禁止案を同年9月はじめに提出していた。(ロシア漁業ニュースヘッドライン2022/10/22)

 産業貿易省関係者は、サケマス製品輸出禁止案が、2022年10月11日、関税率および非関税規制、外国貿易における保護措置に関する政府委員会で検討されたが、修正差し戻しとして、必要に応じて再検討することになったと語り、一方で、問題となっている部分に関する点については指摘しなかった。

 今年2022年漁期の同年10月中旬までの太平洋サケマス漁獲量は26万7,000トンで、2009年以降、最低の水準で推移しており、魚卵の生産量は昨年2021年の約半分の8,000トン-9,000トンにとどまるものと見られている。

 ロシア漁業庁長官シェスタコフは、2014年から続く制裁措置によるタイセイヨウサケの輸入禁止と太平洋サケマスの不漁によりサケマス製品価格の大幅な上昇が予想されることから、これを落ち着かせるためにサケマス製品の輸出禁止措置が必要だと説明していた。

 この問題について全ロシア漁業者水産物輸出者協会ヴァルペ会長ズベレフは、サケマスの輸出禁止が、製品価格の低下にインパクトを与えないと語り、確かに長期的水準で高値あることは事実だが、昨年2021年の太平洋サケマスの生産量が49万3,000トンを生産した昨年同期よりも今年2022年の価格は24%低く推移していたにもかかわらず、ロシア漁業庁の声明に市場が反応したことが原因で、カラフトマス製品が28%(32万ルーブル/トン)、シロザケは22%(44万ルーブル/トン)で本当に急騰してしまったと言及した。

 更にズべレフは、輸出禁止は反対の効果をもたらす可能性があり、利益を失いたくないサプライヤーは、国内市場での販売を控え、価格を押し上げる可能性もあると指摘、輸出禁止を支持しないと述べ、製品価格の上昇を最小限に抑えるのであれば、輸出禁止の代替として水産物の輸入関税を一時的にゼロにするか、太平洋サケマスの国内中央部・西部への鉄道物流への補助金を提供する等の措置を用意すべきだと加えた。

 

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