国境などに隣接する「境界地域」の現状を考えるセミナー「危機のなかの境界地域」が19日、沖縄県竹富町役場で開かれた。根室管内からは根室市と標津町の担当者が登壇し、ロシアのウクライナ侵攻や新型コロナウイルスによる影響を紹介した。境界地域研究ネットワークJAPANが主催し、道内4市町を含む全国10市町村の首長らが、オンライン形式を含めて参加した。(北海道新聞根室版2022/11/22)
根室市の石橋直巳北方領土対策部長は、貝殻島周辺のコンブ漁で、ロシア国境警備局による臨検が前年の4倍以上に増えたと報告。サンマ棒受け網漁船がロシア主張排他的経済水域を迂回(うかい)しており、漁場までの直線距離が近い根室市の優位性が薄れたことも紹介し、「北方領土のみならず、海もロシアに実効支配され、根室市全体に影響が及んでいる」と話した。
標津町は星京子副町長と企画政策課の西山一也係長が発表。西山さんは2020年に日本遺産に登録された「『鮭(さけ)の聖地』の物語 根室海峡一万年の道程」について説明し、「自分が暮らすマチだけではなく、関係する周辺の地域を案内できなければならない。コロナ禍で観光客が減少している間に、ガイドが練習を重ねている」と話した。(武藤里美)
ロシアとの交流どうなる?道内自治体もウクライナ侵攻の影響を報告 沖縄で境界地域セミナー
(北海道新聞2022/11/20)
国境などに隣接する「境界地域」の現状を考えるセミナー(境界地域研究ネットワークJAPAN主催)が19日、沖縄県竹富町役場を主会場に開かれた。オンライン形式を含め道内4市町を含む全国10市町村の首長らが参加しロシアのウクライナ侵攻や新型コロナウイルス禍の影響を報告した。
「危機のなかの境界地域」と題したセミナーで、ロシア・サハリン州3市を友好都市とする稚内市の工藤広市長は「ウクライナ侵攻で状況が一夜にして変わった」と述べた。日ロ関係悪化で交流事業が見通せない中、ロシア側の地元紙に「これからも稚内と交流したい」とする記事が載っていたことを紹介。「交流を経済発展につなげたいが、どう付き合えばいいか悩んでいる」と語った。
北方領土に隣接する根室市の担当者は日ロ間の協定に基づき北方四島周辺水域で行われる漁業の現状を報告。「侵攻の影響で出漁が大幅に遅れた。貝殻島周辺のコンブ漁ではロシア国境警備局による『臨検』が急増した」と話し、領土交渉の停止を「長期化すれば国民の領土問題への関心が薄れる」と懸念した。
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