根室振興局の北方領土対策室に、高校生への領土問題啓発を担当する北方領土元島民3世の職員がいる。祖母が国後島出身の山本里乃さん(27)だ。(北海道新聞根室版2022/12/24)
根室管内1市4町の6高校の生徒が協力して北方領土に関するデジタルサイネージ(電子看板)用の映像をつくる会議「Nサミット」の運営を担う。7日のオンライン初会合で、参加14人に「作成するのは、高校生が興味を持つきっかけになる北方領土の紹介映像です」と語りかけた。
十勝管内音更町出身。中学2年、13歳の時に祖母の真智子さん(81)とともに自由訪問に参加し、真智子さんが幼少期を過ごした国後島ポンタルベツを訪れた。涙を流して墓地に手を合わせる祖母の姿に「島を返して」という気持ちがより強くなった。
翌年、領土問題に関する十勝管内の弁論大会でその体験を訴え、最優秀賞。若者側からの発信を自ら担ったことがある。
大学時代にロシア・シベリア西部の都市、トムスクに留学。ロシア人学生から北方領土返還に関する厳しい見方を聞き、相互理解の難しさも感じた。
道職員として5年目。「墓参など四島訪問に参加する人を手助けし、領土問題の解決に関わりたい」という思いを胸に就職した。
そして今、新型コロナウイルス対策や日ロ関係悪化の中で四島への訪問が途絶える中、若者への啓発などにより返還運動に広がりを持たせる必要性が増している。「若い世代が同世代同士で考え、伝え合うことで関心がある若者を増やしたい」と願いを込める。(松本創一)
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