北方墓参、再開に期待 帯広 ビザなし交流通訳者講演

 北方領土ビザなし交流に長年携わるロシア語通訳の大島剛さん(66)による講演会が15日、帯広市のとかちプラザで開かれた。2000年のプーチン大統領の初当選以降、日ロ双方の政治的立場を害さない「特別な法的枠組み」を形骸化させる動きがロシアで次第に進み、「かつては元島民が希望の場所に行けたが、規制や監視の強化で難しくなった」と指摘した。(北海道新聞帯広十勝版2023/1/16)

 千島歯舞諸島居住者連盟と同連盟十勝支部の主催。大島さんは札幌のロシア語通訳会社社長で、1992年開始の交流事業に準備から関わり、墓参などを含め北方四島を100回以上訪れてきた。

 事業開始当初の北方四島の雰囲気について、大島さんは「日本は経済大国で相手は崩壊した国。領土問題は1、2年で解決するという高揚感があった」とした。ただ、経済発展に伴いロシアでは「ロシアの島」という認識が高まり「日本の訪問団を双眼鏡で監視し、荷物や書類のチェックが厳格になった」と述べた。

 ロシアのウクライナ侵攻により渡航再開のめどが立たない中だが、「墓参は再開できるのではないか。現政権が倒れ、自由に議論できる政権になれば、元島民の自由な訪問も戻ってくるだろう」と話した。(水野薫)

 

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