北方四島周辺海域で日本漁船が行う今年の安全操業について、ロシアが現時点で操業条件を決める政府間交渉に応じない方針を日本政府に伝えたことが20日、日本側関係者への取材で分かった。ロシアのウクライナ侵攻に対して制裁を科した日本との関係悪化が原因。ロシア側は両国が合意した安全操業協定の枠組み自体は維持しているが、操業開始の見通しは一段と立たなくなった。(北海道新聞2023/1/21)
安全操業は両国間の協定に基づき、ロシアが実効支配する四島の管轄権に触れない形で1998年から実施されてきた。今年の操業を巡っては漁期や漁獲枠を決める政府間交渉に入れないまま初めて越年し、調整が難航していた。
関係者によると、在ロシア日本大使館関係者が19日、モスクワのロシア外務省に呼ばれ、「現状では交渉に入れない」と伝えられた。ロシア側からは協定そのものは破棄していないとの考えも示されたという。
例年、漁期が1月末までのタコ漁や3月半ばまでのスケソウダラ漁への影響は避けられず、日本側関係者は「かなり厳しい状況だ」と語った。政府間交渉が長期間凍結されれば、9月以降のタコ漁やホッケ漁への影響も危ぶまれる。
ロシアは昨年2月のウクライナ侵攻後、対ロ制裁を発動した日本を「非友好国」に指定。政府や議会内で、四島周辺のロシア主張領海内で日本漁船に操業を認めることに慎重論が高まっているとされる。(荒谷健一郎)
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