2022年の花咲港でのロシア産活ウニの輸入額は前年比9.7%増の75億6850万円となり、2年連続で過去最高を更新した。輸入量は0.9%減少したが、単価が10.7%高と高水準で推移。21年に道東沿岸で発生した赤潮で国産ウニが減少している上、円安で加工済みウニの海外輸出の需要が増えたことで、北方四島周辺産を中心としたロシア産ウニの引き合いが強まった。(北海道新聞根室版2023/2/16)
貿易統計によると、昨年1年間のウニの輸入量は0・9%減の5929トンとほぼ横ばいだったが、1キロ当たりの単価が123円高の1276円だったことから総額が伸びた。単価は花咲港で本格的にウニの輸入が始まった1998年以降最高で、過去10年間で2倍になった。
水産関係者によると、単価の上昇は道東沿岸で発生した赤潮によるウニの大量死などで国内産の品薄が続いているためだという。円安や和食ブームにより米国や中国からの引き合いが強いことも、単価を押し上げているとみられる。
花咲港で輸入するウニのほとんどが北方四島周辺産とされる。ロシア当局による税関手続きを経て殻付きのまま花咲港に運搬される。ロシアによるウクライナ侵攻が始まった昨年2月以降も堅調に輸入が続いており、関係者は「活ウニを鮮度を保ったまま遠方に運ぶことは難しい。比較的近い花咲港への輸出が、ロシア人島民にとっての外貨獲得手段になっているでは」と分析する。
日本の関税法では、ロシアが実効支配する北方四島を「外国とみなす地域」とし、税関は四島周辺水域の水産物を輸入品として扱っている。ロシアによるウクライナ侵攻後も日本の対ロ制裁に水産物の禁輸は含まれていないため、現在もウニの輸入は続いている。(武藤里美)
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