ロシアが実効支配する北方領土や、隣接する北海道を舞台にしたドキュメンタリー映画を製作する。かつてソ連に強制退去させられた元島民にもインタビュー。「望まずに故郷を離れる人たちは今も世界中にいる。悲しい歴史を繰り返さないために、反戦を訴える映画にしたい」と語る。(北海道新聞2023/2/16)
ベラルーシの現在の首都ミンスクでソ連時代に生まれた。映画製作会社に勤めたが、ソ連崩壊で経済が混乱に陥り仕事は激減。1992年にフランスへ移住して劇団で活動し、2002年以降は監督としてドキュメンタリーづくりを重ねた。
国後島を訪れた友人の話がきっかけで北方領土のロシア人社会や帰属問題に関心を抱いた。現地に足を運び、かつて日本人が暮らした集落跡や、インフラが十分に整っていないロシア人島民の生活の実態などをフィルムに収め、19年に映画「クナシリ」を公開。フランスやロシアのほか、日本各地でも上映された。
「日本人側から見た四島への思いを撮りたい」。続編の撮影のため22年に根室市などを訪問。「11歳まで住んでいたが今も帰れない」「島に孫と行き、自分が住んでいた場所を直接教えたい」。インタビューした元島民の言葉には、故郷への変わらぬ愛着があふれていた。
島がソ連に占拠された78年前と、ロシアが侵攻するウクライナで多くの避難民が出ている現状が重なる。「政治の犠牲になるのはいつも市民ということを知ってもらいたい」。新作は「NEMURO」と題し24年に完成予定。66歳。(共同)
コメント