北海道の島、3倍の1473に 国土地理院、数え直しの結果発表

 国土地理院は28日、日本全国の島の数について、35年ぶりに数え直した結果、これまで公表されていた6852から1万4125に倍増したことを発表した。509から1473と3倍近くに増えた道内に関しては、戦前の地図を基に数えていた北方領土地域の島々が、地図の更新によって増加した要因が大きいとしている。(北海道新聞電子版2023/2/28)

 国土地理院は今回、2万5千分の1地形図の基となる電子国土基本図を使い、自然に形成された外周100メートル以上の陸地を島として数えた。東京の沖ノ鳥島など法令に基づく島も含めた。航空写真など測量技術の向上で詳細な海岸線が明らかになり、島の数が大幅に増えた。領土や領海の広さには影響しない。

 道内は北方領土の地図が、1922年(大正11年)の5万分の1を基にしたものから、2014年に衛星画像による地図に更新されたことで3倍近くに増え、都道府県別で長崎に次いで2番目に多くなった。ロシアの実効支配で航空機からの撮影ができず、衛星で観測できるようになるまで詳細な地図が作れなかったという。

 島の数は、海上保安庁が87年に公表した6852が広く使われてきたが、領土への関心が高まっているとして数え直した。(米田真梨子)

日本の島 数え直したら倍増、1万4000に 北海道も千超え

(北海道新聞電子版2023年2月13)

 政府が日本全国の島を35年ぶりに数え直した結果、総数がこれまで公表されてきた6852から1万4125に倍増する見通しであることが13日、関係者への取材で分かった。地図の電子化に伴い調査精度が大幅に向上し、正確に把握できたためで、3月にも公表する方針。国土地理院が最終的な調整を進めており、数は変動もあり得る。

 領土や領海の広さは変わらない見込み。教育現場などで使われる各種資料の記述に影響を与える可能性がある。島の数はデータが古いまま長く放置され、実際と大きく異なると指摘されていた。

 政府はこれまで海上保安庁が1987年に公表した島の数を幅広く使ってきた。国連海洋法条約では(1)自然にできた陸地(2)水に囲まれている(3)満潮時でも水面上にある―が島の定義。当時の海保の調査では縮尺2万5千分の1の海図を基準に、外周が100メートル以上の島を手作業でリストアップした。湖の島や川の中州などは含まれていない。

 今回は地理院の2022年の電子国土基本図をベースにコンピューターで自動計測。人工的に作られた埋め立て地などを除外するため、過去の航空写真などと照合した。条件に合致する島は小さいものを含め10万以上見つかったが、外周100メートル以上の島を選び出した。沖ノ鳥島など法令に基づく島も数に含まれる。

 領土の面積は同じ電子国土基本図が基になっており、変更はないとみられる。領海の広さについても、政府が領海の外縁を根拠付ける国境離島を別途調査しており、島を数え直す今回の調査は影響を及ぼさない。

 今回の調査で千を超えたのは長崎(1479)、北海道(1473)、鹿児島(1256)の3道県だった。長崎は前回調査でも最多だった。

 島の数を巡っては21年12月の参院本会議で、自民党有村治子参院議員が「島の数を正確に把握することは国益に関わる大事な行政だ」と指摘し今回の調査が始まった。

 海図は海保が航行の安全を目的に作っており、島の数を正確に把握するのには不向きな側面があった。地理院は14年に電子国土基本図の整備を完了した。

明治学院大の石原俊教授(島しょ社会論)の話

 海に囲まれた日本にとって、領海や排他的経済水域EEZ)を基礎付ける離島の管理や保全が安全保障上重要なのは明らかだ。第2次安倍政権以降、この観点からさまざまな政策が進められてきた。島を数え直した背景にはこうした流れがあると捉えることができ、政府の強いこだわりを感じる。ただ国境離島以外はその存否が海洋権益や安全保障に直結するとは言い難い。日本はそもそも島によって形作られた群島国家であり、海底火山の噴火や浸食・風化によって島の数は変動しうる。

五島列島福江島=2022年11月、長崎県五島市

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