【根室】市は、終戦直後まで根室と北方領土・国後島を結んだ通信用海底ケーブルの中継施設「陸揚庫」の歴史的価値を解説するPR動画を制作し、公表した。旧ソ連軍による北方領土侵攻を本土に電報で伝える際に中継した役割などを説明する内容で元島民の高齢化や減少が進む中、「もの言わぬ語り部」として保存の意義を強調している。(北海道新聞根室版2023/4/25)
動画は約35分。海底通信線が根室から国後島南部に海底でつながり、さらに択捉島の蘂取(しべとろ)村まで敷設されていたことを当時の写真や地図、年表などを使って説明。漁業などの産業を支える通信インフラとして大きな役割を果たしていたことを、戦前の四島の写真で紹介している。
戦後、旧ソ連軍による北方領土侵攻が始まり、択捉島留別村の村長がロシア語通訳の派遣を電報で求めるなど、当時の緊迫した島民の様子が陸揚庫を介して本土に伝わったことを道などが保存している資料などを元に説明。「元島民が少なくなる中、歴史の証人としての役割が陸揚庫に新たに求められている」と締めくくる。
市は、北方領土関連の催しや視察などの際にも動画を活用する方針。近く動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開する。(川口大地)
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