北方四島からのロシア人船員、戻る根室 コロナ水際緩和受け 地元、日ロ険悪でも「経済にプラス」

 新型コロナウイルスに関する検疫所の水際対策が4月末に緩和されたことを受け、根室市内でロシア人の姿が再び目立ち始めている。北方四島周辺から海産物を持ち込む船員たちが休憩時間に上陸し、買い物をする例が多い。日ロ関係の悪化が長期化する中でも、根室ではロシア人の訪問再開を「地域経済にはプラス」と冷静に受け止めている。(北海道新聞2023/5/23)

 港湾関係者によると、19日早朝、根室・花咲港には北方領土国後島から4隻のウニ運搬船が入港。午前9時前後に20人以上のロシア人乗組員が手続きを済ませ、港からバスなどで次々と市街地へ向かった。

 入管法は、船員手帳がある外国籍船員にはビザなしで最大15日間、寄港自治体内での滞在を認めている。日本政府は2020年2月以降、陰性証明書などの追加提出を求める検疫強化をしたが、新型コロナの5類感染症移行を前に4月末から従来の形に緩和した。このため北方四島在住ロシア人などが根室へ入りやすくなった。

 ロシアの運搬船乗組員として上陸した国後島在住のセルゲイ・アンドレービッチさん(36)は、根室市内の小売店でチョコや車のワイパー部品、釣り用品などを購入。「国同士は緊張状態だが日本製品は買いたい。これまでコロナのため難しかったが、4年ぶりに根室に入れてうれしい」と語った。根室のホームセンターの店舗担当者は「感染対策緩和以降、ロシア人の買い物が増えた」と話す。

 花咲港でのロシア人などの外国人船員上陸は2019年には4113人だったが、新型コロナ後の21年は153人と19年比で96%減。地域経済にも影響が出ていた。根室商工会議所の山田康志会頭は「日ロ関係が冷え込んでも、隣人のロシア人の消費は地域にとって重要。従来通り、受け入れていきたい」と話した。(川口大地)

 

 

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