駐ユジノサハリンスク総領事に着任 横田敬一さん

 ロシア・サハリン州の州都ユジノサハリンスクにある日本総領事館の総領事として3月末に着任した。ウクライナでの「特別軍事作戦」が続き、日ロ関係が難しい状況の中で、約12年ぶりのロシア勤務となった。「だからこそ、来たかった」と外交官の誇りをのぞかせる。(北海道新聞2023/5/30)

 外務省入省は旧ソ連の崩壊から約4カ月後の1992年4月。クレムリンから赤いソ連国旗が引き下ろされる国際ニュースに強い衝撃を受けた。「安定した国よりも、これからどうなるかわからない国を見たい」。文字を読める程度のロシア語力だったが、ロシア畑を歩むことを決めた31年前と今が重なる。

 ロシアは日本を「非友好国」とし、北方領土を事実上管轄する州政府と総領事館との対話もほぼ途絶えた。それでも、「北方四島を身近に観察できるこの地で、できる限りのことをしたい」と気を引き締める。

 北方領土とのビザなし交流の政府間合意が破棄され、元島民の墓参すらかなわない状況。「サハリンから劇的に変えることは難しい」と認める一方、「これまで築いてきたロシアの人たちとの関係を絶ってはならない。日ロ関係が改善した時に元島民の方々を全力でサポートできるよう、バトンをつなぐ役割を負いたい」と先を見据える。

 過去に2回、モスクワの日本大使館で勤務したが、サハリンは初めて。スーパーに北海道ブランドのビールや菓子が並ぶ光景は、前任地のオーストリア・ウィーンにはなかった。「北海道との『近さ』がここまでとは。もっとこの街を知りたい」。大阪府出身、54歳。(文基祐)

 

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