日本の漁師は1日、クリル諸島南部(北方領土)のシグナリヌイ島(貝殻島)周辺でコンブを採り始めた。共同通信が報じた。ロシアと日本の当局が4月に達した合意に基づき、日本の漁師は8,250万円(約59万ドル)の補償金(採取料)を支払い、6月1日から9月まで漁が許可された。漁獲枠は3,081トン。日本の海岸からわずか 3.7 km に位置するシグナリヌイ島は、クリル諸島南部における最初であり、長い間二国間の経済協力が行われてきた海域。日本の漁師たちは第二次世界大戦後、コンブ採取の許可を得ずにこの海域で操業したため、密漁船の拿捕や押収などソ連国境警備隊との間で事件が絶えなかった。このため1963年にシグナリヌイ島周辺でのコンブ漁に関する協定が締結された。(タス通信2023/6/1)
貝殻島コンブ漁始まる 2年ぶり通常操業
(北海道新聞2023/6/1)
【根室】北方領土・貝殻島周辺でのコンブ漁が1日始まり、納沙布岬周辺の漁港では漁業者らが高級品のサオマエコンブを次々と初水揚げした。昨年はロシアのウクライナ侵攻により日ロ民間交渉が遅れ、出漁が例年より3週間ずれ込んだが、今年は2年ぶりに例年通りの出漁。コンブの生育状況も良く、漁業者らは今後の漁に期待を寄せた。
午前7時、納沙布岬周辺から204隻が一斉に出漁し、岬から3・7キロの貝殻島で漁を開始した。午前10時ごろには漁を終えコンブを積んだ漁船が根室市内の各漁港に続々と帰港。漁業者たちは水揚げしたコンブをトラックに移し干場に運んだ。
第33大盛丸の大島隆司さん(53)=根室市=は「コンブの繁茂が良く、昨年の初日と比べ倍以上採れた。順調な滑り出し」と満足した様子だった。
貝殻島周辺のサオマエコンブは成長途中のナガコンブで、柔らかさが特徴。だが、昨年は出漁が3週間遅れ、固くなったコンブもあった。今年は例年通りの出漁が実現し、歯舞漁協(根室市)の柿本康弘・昆布漁業部会長は「質、長さともに最高で安心した」と、今後の豊漁を期待した。
歯舞漁協は昨年同様、操業ルールを徹底するため、指導船1隻に加え、補助船2隻を出した。漁業者によると、ロシア国境警備局のゴムボートが複数、漁場を巡回し、一部の船の臨検をしたという。(先川ひとみ、川口大地)
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