国後島・ケラムイ崎 タンチョウのヒナ2羽すくすく 母親「ベリア」が4年ぶりに子育て

 国後島南部のクリル自然保護区にあるベスロフスキー半島(ケラムイ崎)で、2017年に足環を付けられた雌のタンチョウ「ベラヤ」が、2羽のヒナを育てている。自然保護区の職員が7月に生後1カ月半のヒナ2羽を確認した。「ベラヤ」の子育てが確認されたのは2019年以来4年ぶり。 (クリル自然保護区ウエブサイト2023/07/14)

 タンチョウはロシア連邦サハリン州レッドブックのカテゴリー 1 「絶滅危惧種」に記載されている。国後島には現在、7組が営巣。このうち3組がベスロフスキー半島で営巣している。

 タンチョウの繁殖成功率が非常に低く、ヒナを育てるのは容易ではない。その原因は、野生動物(キツネ、猛禽類、カラス)と野良犬、牛の可能性がある。こうした中で、今回2羽のヒナが記録されたことは非常に重要だ。

 もう一つ重要なことは「ベラヤ」がヒナを育てていることだ。2017年 5 月、カラーリングが付けられ、GPSGSMロガーが装着された。このセンサーは2021年5月まで4年間機能し、ロシアと日本の科学者に貴重な情報を提供した。自然保護区の鳥類学者セルゲイ・ステファノフ氏によると、国後島のほとんどのタンチョウは、北海道(日本)との間を行き来している。「ベラヤ」に付けられたGPSのおかげで、両国の科学者は「ベラヤ」が2017年から2021年にかけて北海道のどこで冬を過ごし、いつ国後島に戻ったかを追跡することができた。

 2018年に「ベラヤ」は1羽のヒナを産み、2019年には2羽のヒナを育て、いずれも巣立ったことが確認されている。2020年に雄1羽とヒナ1羽を連れて越冬したが、その後単独で北海道へ飛んだ。2021年以来、「ベラヤ」には新しいパートナーがいるが、丸2年間巣作りをしなかった。

 国後島でタンチョウが最初に確認されたのは1968年。ステファノフ氏によると、現在タンチョウの営巣地は国後島に7 カ所、色丹島に 1 カ所、小クリル列島(色丹島歯舞群島)の4つの島(タンフィリエフ島=水晶島、ポロンスキー島=多楽島、ユーリ島=勇留島、ゼリョ―ヌイ島=志発島)にそれぞれ1カ所の計12カ所が確認されている。このうち国後島色丹島の6カ所で継続的な観察が行われているが、小クリルの島々や国後島北部の到達困難な1カ所については、断片的な情報しか得られていない。

Два птенца у Белой (о.Кунашир) – YouTube

生後1か月半のタンチョウのヒナ。健康に問題はなさそうだ。国後島2023年7月11日。アレクサンドル・ヤコブレフ撮影

「ベラヤ」は2017年5月に国後島で足環が装着された(マークは白、赤、白)。足のGPSGSMロガーは 4 年間機能し、科学者に貴重な情報を提供した。国後島2023年 7 月 11 日。アレクサンドル・ヤコブレフ撮影

草の茂みの中にヒナを隠す用心深い母親「ベラヤ」。国後島2023年7月11日。アレクサンドル・ヤコブレフ撮影

コメント

タイトルとURLをコピーしました