新しい歴史教科書に「千島列島を解放した占守島の戦い」記述 愛国教育進めるロシア教育相らが記念碑に献花

ロシアの中等学校10年生向けの新しい歴史教科書で、クリル諸島(千島列島)を解放したシムシュ島(占守島)の戦いが特別に取り上げられることになり、セルゲイ・クラフツォフ教育大臣とカムチャツカ地方のウラジミール・ソロドフ知事がクリル諸島(千島列島)北部のシュムシュ島を訪問し、解放作戦で亡くなったソ連兵士をたたえる記念碑に献花した。ロシア教育省によると、シュムシュ島の戦いの記述は、10年生が新学期の9月から使用する新しい歴史教科書で特別に取り上げられている。教育相は「我が国のまったく異なる地域で、大祖国戦争第二次世界大戦の出来事の証拠が保存されている。祖国を守ったソビエト兵士の英雄的な戦いを記憶し、若い世代に伝えることは非常に重要だ。今日、歴史の授業や課外活動における愛国教育に特別な注意が払われている。10 年生用の新しい歴史教科書では、クリル諸島の解放にページがさかれている」と述べた。1945年8月18日の日本軍との戦闘中、ニコライ・ヴィルコフとピョートル・イリチェフは自らの体で敵の掩蔽壕の銃眼を覆い、それによってソ連空挺部隊の勝利を確実にした。教育大臣と知事は、クリル諸島解放のための戦いで命を落とした兵士たちの集団墓地に眠る2人の英雄の墓に献花した。「軍事的栄光の場所を訪れ、英雄の名前が刻まれたプレートの前に立つと、私たちは皆特別な感情を経験する。空挺部隊はどのような思いで敵の砲撃を受けながら高地を襲撃したのか。若い男たち、ピョートルとニコライは、攻撃が始まったとき何を思ったのか。彼らはどんな思いで、敵の掩蔽壕の銃眼を体で塞いだのだろうか。英雄たちに永遠の記憶を」とソロドフ知事は語った。(astv.ru 2023/7/31)

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ロシア、統一教科書で侵攻正当化 歴史教育見直し進める

(共同通信2023/5/15)

 ウクライナへの侵攻を続けるロシアが歴史教育の見直しを進めている。9月の新学期からは、昨年2月に軍事作戦を始めた理由やロシア軍の「英雄的な戦いぶり」を記述した教育省認定の全国統一教科書が学校で使われ、侵攻を正当化する政権の歴史観を若い世代に浸透させる意向だ。

 プーチン大統領は最近、各地で若者と対話し、欧米が自分の価値観や歴史認識を押し付けてロシアの崩壊を狙っていると繰り返す。長期戦を見据え、今後の支持固めを図っているとみられる。

 ソ連崩壊後のロシアでは1990年代の民主化で学校教育の自由化が進み、国が教科内容のモデルは示すものの、各学校に教科書の選択や教える内容の大きな裁量が与えられた。

 だが侵攻後に欧米との関係が悪化。「侵略国」との非難に反発し、ロシアは欧米の対応を「新植民地主義」などと批判した。政権支持派が多数の議会で「統一のカリキュラムで正しい歴史を教えるべきだ」との声が高まった。

 昨年9月に教育法が改正され、学校では教育省策定の連邦プログラムを基礎に国が認めた教科書で教えることが義務付けられた。

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