占守島の激戦 千歳へ慰霊碑 旧陸軍遺族が寄贈、陸自駐屯地に移設 写真や名刺300点も

 【千歳】終戦直後に北千島のシュムシュ島(占守島)で、旧ソ連軍との激戦により亡くなった旧日本陸軍戦車第11連隊の池田末男連隊長の遺族が、愛知県の霊園で管理していた同連隊の慰霊碑を陸上自衛隊東千歳駐屯地(千歳)に寄贈した。同駐屯地の史料館がこの戦いに関する展示をしているため。同駐屯地は3日、史料館の中庭に移設した慰霊碑を報道陣に公開した。(北海道新聞2023/8/4)

 旧ソ連軍は北海道の北半分や千島列島の占領を狙い、1945年8月18日、占守島に上陸。21日に停戦するまで4日間の「占守島の戦い」で、日本側約370人、ソ連側約3千人の犠牲者が出た。激しい攻防は浅田次郎さんの長編「終わらざる夏」の題材にもなった。

 慰霊碑を寄贈したのは池田連隊長の孫で東京在住の杣谷(そまや)少菜(すくな)子さん(55)。77年に遺族が連隊長の遺志を継いで出身地の愛知県豊橋市の霊園内に建てたが、管理していた杣谷さんの父が3年前に亡くなったため、引き取り先を探していた。

 縦60センチ、横100センチ、幅10センチの慰霊碑の表側に「将兵眠る」の文字、裏側に同連隊がこれから突撃することを師団司令部に伝えた「打電文」が刻まれている。

 杣谷さんは、45年夏に占守島で撮影されたとみられる連隊長の写真や名刺など計約300点も併せて寄贈。史料館で公開された。杣谷さんは寄贈品に添えた手紙に「日本の未来と平和を願って戦った彼ら(第11連隊)の意思を教材や資料として活用してほしい」などと記している。

 史料館では占守島での戦車戦を再現したジオラマなども展示している。花田義将館長(49)は「(寄贈品は)貴重な資料ばかり。戦後、北海道を守った戦いがあったことを知ってほしい」と話す。

 史料館は平日午前9時~午後4時開館。入館無料だが事前申し込みが必要。問い合わせは第7師団司令部総務課、電話0123・23・5131へ。(犬飼裕一)

東千歳駐屯地の史料館の中庭に移設された旧日本陸軍戦車第11連隊の慰霊碑

寄贈を受け、東千歳駐屯地の史料館に展示されている池田末男連隊長の写真や名刺など

占守島での戦車戦を再現した大型ジオラマ陸上自衛隊東千歳駐屯地の史料館の展示の中でもひときわ目を引く

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