ロシア太平洋艦隊水路局とロシア地理学会、N.N.ズボフ国立海洋研究所がクリル諸島(千島列島)中部のシムシル島(新知島)で、水上飛行場の建設に向けた調査を実施する。科学者たちはかつて海軍基地があったブロトン湾で、音響測深機を使用して水深を測定するほか、湾内の植生、風や波を考慮した風荷重を調査する。プロトン湾はカルデラ湖の一部が海没し、湾の入口を形成している。ソ連時代には海軍基地を建設するため、大型の船舶が入港できるように湾を深くし、拡張した。軍人とその家族のためにクラテルヌイの町が建設され、900人が住んでいた。島には海軍の空軍基地があり、4カ所に沿岸ミサイル「リドゥット」が配備されていた。1994年に軍が撤退し、無人島となった。科学者たちは、水上飛行機を上陸させるため、海に向かって延びていたコンクリート製スロープ跡を調査する予定だ。遠征隊のリーダーで国立海洋研究所のセルゲイ・プロツェンコ副所長は「ソビエト時代には、Be-12 水上飛行機がブロトン湾に着陸したが、適切なインフラを備えた本格的な水上飛行場はなかった。水上飛行機用のバースをどこに建設できるか。湾には海のうねりはないが、風が起こす波がある。水上飛行機にとって、これはあまり良いことではない」と語った。水上飛行場の適地調査は2021年から行われ、これまでに択捉島のカサトカ湾(単冠湾)、カムチャツカのアヴァチャ湾などで実施されている。(astv.ru 2023/8/17)
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