北大スラブ・ユーラシア研究センターと北海道新聞による、日ロの境界地域の根室(一部根室管内)、稚内両市住民への影響についてのアンケートで、ロシアによるウクライナ侵攻が根室の地域に影響を与えていると認識する人は83%にのぼり、稚内に比べ15ポイント多かった。紛争への日本の役割は「仲裁」や「中立的な立場を取る」とする意見が稚内より目立った。(北海道新聞根室版2023/9/16)
地域への影響に関する質問では、根室は「大いにある」が53%と稚内より23ポイント多かった。「多少ある」は稚内より8ポイント少ない30%だった。「あまりない」「全くない」は計10%で、稚内の約半分だった。
影響が「ある」とした82人に、その分野を聞く質問では、根室は「漁業」が61人で最多、「人的交流」は53人、「貿易」は25人の順だった。
紛争への日本の役割を聞く質問で、「ウクライナ支援」と答えた人は根室では33%で、稚内より23ポイント少なかった。一方、「仲裁に入る」は稚内より8ポイント多い26%。「中立的立場」を求める人は3ポイント多い16%。根室は稚内に比べ、ロシアに対する多様なアプローチを求める声が多く寄せられた。
日本政府の対ロ制裁について、根室で「支持しない」と答えた人は22%にのぼり、稚内より16ポイント多かった。根室で支持しない理由は、「日本の利益にならない」が最多。その後「日本は紛争当事国ではない」「交流が途絶えた」と続いた。
日本の制裁にロシア側が対抗して取った北方領土ビザなし渡航の一部中断、北方四島周辺水域での安全操業を巡る政府間協議凍結などが根室の住民の政府への批判的な態度に影響しているとみられる。
アンケートは8月1日に新聞朝刊の折り込みで根室市内5830枚、稚内市内4935枚を配布。居住地別で根室市(一部根室管内含む)99人、稚内市68人、そのほか16人の計183人から回答があった。(川口大地、松本創一、河相宏史)
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