【根室】根室市の納沙布岬にある北方領土返還運動のシンボルモニュメント「四島のかけ橋」の下にともる祈りの火が、4カ月ぶりに点灯した。従来は原則毎日、点火していたが、6月上旬に故障してから、点火できない状態が続いていた。(北海道新聞2023/10/3)
祈りの火は1981年のモニュメント設置時に点火し、「領土返還が実現するまで燃やし続ける」としていた。灯火台内部の配電盤が劣化し、ガスが出ない状態になっていた。既に点火用配電盤の部品がなく、特注品を取り寄せたため修理に時間がかかり、9月26日に点灯を再開した。
納沙布岬では今夏、連合や日本青年会議所による領土返還の大会などが相次いで行われた。モニュメントを管理する市は「全国から返還運動の参加者を招いた夏の期間に祈りの火が消えており申し訳ない。返還まで火を絶やさぬように管理していきたい」としている。(先川ひとみ)
根室「祈りの火」再点火 「返還諦めていない」元島民ら安堵
【根室】根室市の納沙布岬にある北方領土返還運動モニュメント「四島のかけ橋」の下でともる祈りの火が、4カ月ぶりに点灯され、元島民や関係者が胸をなで下ろしている。祈りの火は、市などが「四島返還の日まで燃やし続ける」としてきたものだが、特注品のため修理に時間を要し、夏の領土返還関連行事の際には消えていた。
市によると、祈りの火の燃料はプロパンガス。灯火台内部の配電盤が劣化して故障したが、老朽化しているため、部品を新たに作り直した。再点灯は9月26日。
千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)根室支部長の角鹿泰司さん(86)は「祈りの火は返還運動の象徴。早期再開を求めている北方領土墓参の実現も見通せない中、祈りの火のあるなしで元島民の気持ちが違う」と再点火に安堵(あんど)した。さらに「観光客が火を見ることが返還運動を知るきっかけにもなっていたはず。再び点火され、返還運動に関心を持つ人が増えてほしい」と願った。
歯舞群島多楽島出身の河田弘登志さん(89)は、歯舞群島貝殻島の灯台でロシア側が実効支配を誇示する動きを見せていることを念頭に「日本は返還を諦めていないとロシア側にアピールする意味でも、このタイミングで火がともった意義は大きい」と強調した。
納沙布岬では、今夏、連合や日本青年会議所による大会、北方領土まで歩こう会など北方領土関連の催しを実施。隣接する北方館の清水幸一副館長は「夏の間点灯できなかったのは残念。訪れた人から問い合わせもあった。観光シーズン終了を前に火がついて安心した」と話した。
祈りの火は米国から返還された沖縄県で採火。屋内のランタン内で保管され、「四島のかけ橋」が完成した1981年以来、基本的に毎日、日中に野外の灯火台で点火されてきた。市などによると、30年ほど前にも2カ月ほど灯火台の故障で点灯できない時期があった。(先川ひとみ、川口大地)
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