【根室】就任後初めて根室市を訪れた自見英子沖縄北方・アイヌ担当相は12日、納沙布岬を視察後、道立北方四島交流センターで北方領土元島民や関係団体と意見交換会に臨んだ。元島民らは北方領土の墓参の早期再開などについて改めて強く要望した。一方、ロシアのウクライナ侵攻後、領土問題が停滞する中で担当大臣が2018年以降で7人目となったことについて、元島民らから政府の本気度を問う声も聞かれた。(北海道新聞根室版2023/10/13)
自見氏は午前中、納沙布岬から北方領土や、白く塗られた歯舞群島貝殻島の灯台などを視察した。
根室市に住む国後島出身の古林貞夫さん(85)は意見交換会で「墓参をはじめ北方領土ビザなし渡航が実施できず非常に残念。生まれ育った島を一日でも早く返してほしいし、自由に行き来できるようにしてほしい。ロシアとの交渉を進めて」と要望。元島民が高齢化する中、返還運動の機運醸成や次世代の後継者の育成、元島民や後継者の融資の対象の拡大などの要望も上がった。
自見氏は「墓参をはじめとする四島交流事業の再開は日ロ関係の中でも最優先事項の一つ。北方領土墓参にしっかりと重点を置いて、事業の再開を求めていく」などと述べた。
自見氏は9月に沖縄北方・アイヌ施策担当相に就任。多くの大臣が1年前後で交代してきたことに対して、納沙布岬で自見氏を歓迎した70代の元島民は「次々交代するのではなく、政府はもっと腰を据えてこの問題に取り組むんだという姿勢を見せて」と語った。(先川ひとみ、川口大地)
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