【根室】根室管内の高校生に北方領土返還運動へ主体的な参加を促す根室振興局の事業「プロジェクトN」が、3年目を迎え活動の幅が広がっている。8日の「根室さんま祭り」の署名活動は例年参加している根室高生に加え、管内の他校生も初参加。11日には生徒が若者への啓発方法を考えるオンライン会議を開き、アイデアを出し合うなど高校生の主体的な活動が目立つようになってきた。(北海道新聞根室版2023/10/19)
「北方領土返還の署名活動です」。根室港で8日に開かれたさんま祭りでは、根室高生5人に加え、羅臼高、中標津農業高から生徒が1人ずつ駆けつけ、114人分の署名を集めた。羅臼高3年の三河里奈さん(17)は「積極的に声をかけることが大事だと思った」。中標津農業高2年の佐藤天(そら)さん(16)は「自分から出向くことが署名集めのコツだと感じた」と語った。
祭りは荒天で1日間となったが、当初の2日間開催であれば、さらに5人の根室高以外の高校生が参加予定だった。同振興局北方領土対策課は「当初は根室高以外からこんなに集まると想定していなかったので、うれしい誤算」と語る。
プロジェクトNは、管内の高校生に返還運動の次代の担い手になってもらおうと、高校生が主体的に領土問題に関わる機会を設ける取り組み。
スタートした2021年度は、高校への啓発資料の配布などを実施し、振興局から提案した取り組みが中心だった。昨年度は高校生のアイデアに基づき、北方領土啓発のデジタルサイネージ(電子看板)の映像を制作した。本年度も8月に札幌で管内高校生が署名運動を行うなど、活動の幅を広げている。
11日のオンライン会議は、高校生自身にこれからの啓発方法を考えてもらうのが目的で、管内6高校の12人が参加。来年1月に根室管内を巡回して行う署名運動を前に、若者が興味を持ちやすくなるためのアイデアを出し合った。
参加者は3チームに分かれ、「署名活動の実施をSNS(交流サイト)で事前告知する」「会場を堅苦しくない雰囲気にすることが大事」「北方領土問題の啓発キャラクター『エリカちゃん』の着ぐるみを置く」などの意見をまとめた。
北方領土対策課は「自発的に啓発活動に取り組んでくれる生徒が増えてきた」と手応えを語り、「高校生の意見を参考にしながら来年の署名運動をよりよいものにしたい」としている。(川口大地)
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